株式投資では、配当金や損益だけでなく、信用取引における「配当落調整金」なども税務上の重要な要素です。特に損失の繰越控除と組み合わさると、税金の還付が可能になるケースもあります。本記事では、株で損をした年に確定申告を行い損失を繰り越した場合、翌年に配当金を受け取りつつ配当落調整金を支払った場合の税務処理について詳しく解説します。
損失繰越控除とは?基本をおさらい
上場株式等の売却で損失が出た場合、確定申告をすればその損失を翌年以降3年間にわたり繰り越すことができます。これを損失繰越控除といい、翌年以降の株式売却益や配当所得と損益通算が可能です。
例えば2023年に株式で2万円の損をして確定申告した場合、その損失は2024年・2025年・2026年の所得から控除することができます。
配当金にかかる税金とその扱い
上場株式の配当金は、特定口座(源泉徴収あり)であれば約20.315%が自動的に源泉徴収されます。2万円の配当を受け取ると、約4,063円の税金が引かれ、手取りは約15,937円です。
しかし、確定申告をして損失と通算することで、この税金が一部または全額還付される可能性があります。
配当落調整金とは?どのように扱われるか
信用売りで配当権利日をまたいだ場合、「配当落調整金」という名目で配当相当額を買い手に支払う必要があります。この支払は経費(損金)として扱われる一方、配当と損益通算できるかは税法上で取り扱いが分かれます。
通常、配当落調整金は「譲渡損失」と同様に扱われるため、配当所得と直接通算はできませんが、損失繰越の対象に含まれるため、総合的には所得税負担の軽減に寄与する可能性があります。
具体的なケース:2万円の配当と配当落調整金
例として、次のようなケースを見てみましょう。
- 2023年:株式譲渡で2万円の損失 → 確定申告により繰越
- 2024年:配当2万円を受け取る(税引前)
- 2024年:信用取引による配当落調整金2万円を支払う
この場合、課税対象としては2万円の配当金が発生しており、配当落調整金は経費扱い。損失繰越分と配当を通算することで、源泉徴収された約4,063円の税金が還付される可能性が高いです。
ただし、証券会社によっては年間取引報告書にこれらを明示しないケースもあるため、確定申告時に正しく申告することが重要です。
申告時の注意点と損益通算の限界
損益通算にはいくつかの制限があります。まず、損益通算が可能なのは「上場株式等の譲渡損」と「配当等の所得」のみで、配当落調整金は通算できない所得とみなされることもあります。
また、繰越控除を使うには毎年継続して確定申告を行う必要があります。1年でも中断すると、以後の控除は失効します。
まとめ:正しい申告で税還付のチャンスを逃さない
株で損をした翌年に配当を得て信用取引による配当落調整金を支払った場合でも、繰越損失によって配当にかかる税金が還付される可能性があります。
損失を確実に繰り越し、翌年以降も正しく申告することが税負担の軽減につながります。配当落調整金の扱いには注意が必要なので、わからない場合は税理士や証券会社に相談するのが安心です。
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