「生活防衛費と貯金は別に用意すべき?」という疑問は、資産形成を考える人にとって非常に重要なテーマです。本記事では、それぞれの役割の違いと、どう区別・運用すれば良いかを実例を交えて解説します。
生活防衛費とは?目的と特徴を確認しよう
生活防衛費とは、収入が突然途絶えたときや予期せぬ出費に備えるための「非常用資金」のことです。仕事を失った、病気で働けない、収入が激減したといった事態でも数カ月間の生活が継続できるように備えるお金です。
一般的には生活費の3〜6カ月分程度を目安に確保するのが理想とされています。たとえば、毎月の支出が25万円であれば、75万〜150万円程度を生活防衛費として持っておくと安心です。
貯金とは何か?目的によって性格が異なる
一方、貯金は「目的を持ったお金」であり、生活防衛費とは異なります。家電の買い替え、旅行、教育資金、住宅購入、老後資金など、未来の出費を見越して積み立てるのが主な目的です。
つまり、貯金は“使う予定のあるお金”であり、生活防衛費のような“使わない前提のお金”とは性質が異なるのです。
生活防衛費と貯金はどう分けて管理する?
両者を明確に分けるには、口座を分けて管理するのが効果的です。たとえば、「生活防衛費専用口座」「目的別貯金口座」などと名付けて区分することで、いざという時に使い道を迷わずに済みます。
さらに、生活防衛費は「すぐに引き出せる場所」に置くのが基本です。普通預金や定期預金(短期)、または流動性の高い金融商品に置くことをおすすめします。
実例:530万円の貯金がある場合はどう分ける?
仮に現在530万円の貯金があるとしましょう。以下のように分けて考えることが可能です。
用途 | 金額(例) |
---|---|
生活防衛費(生活費25万円×6ヶ月) | 150万円 |
老後資金 | 200万円 |
家電や住宅関連の出費 | 100万円 |
予備費・緊急費 | 80万円 |
このように目的別に分けておくと、資金計画が一気に明確になります。
iDeCoやNISAとのバランスも重要
iDeCoやNISAは長期的な資産形成に有効ですが、流動性は低めです。特にiDeCoは原則60歳まで引き出せないため、生活防衛費とは全く別に考える必要があります。
したがって、現金としての生活防衛費をしっかり確保したうえで、余剰資金をiDeCoやNISAで運用するのがバランスの良い方法です。
まとめ:生活防衛費は“絶対に使わないため”のお金
生活防衛費は貯金の一部ではありますが、「目的が明確で、使う予定がない資金」という点で特別な位置づけです。老後資金や買い替え資金といった“使う前提の貯金”とは区別して考えるべきでしょう。
まずは生活費3〜6カ月分の現金を確保し、そのうえで目的別に貯金や資産運用を進めていく。これが、安定した家計と資産形成への第一歩です。
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