退職を控えた方にとって、次に加入する健康保険をどうするかは非常に重要な選択肢です。特に「任意継続」と「国民健康保険(国保)」のどちらを選ぶべきか、また退職金が保険料に影響するのかどうかなど、情報が錯綜して混乱する方も多いでしょう。この記事では、健康保険選びの基本と、退職金と国保の関係について正確かつわかりやすく解説します。
退職後に選べる健康保険の種類
会社を退職した後、次の健康保険として選択肢は大きく2つあります。
- ①任意継続被保険者制度:前職の健康保険を最長2年間継続できる制度
- ②国民健康保険:各市区町村が運営する保険制度。自営業者や無職の人が加入
どちらを選ぶかは、収入や扶養の有無、居住地の保険料水準によって最適な選択が異なります。
任意継続と国民健康保険の費用比較
任意継続では、保険料は基本的に「退職時の標準報酬月額」を基準に計算され、会社が負担していた分も自己負担になるため、保険料は約2倍になります。例えば、月4万円の提示がある場合、それは「2年間固定」となることが一般的です。
一方、国民健康保険は前年の所得に応じて保険料が変動し、市町村によって計算方法や金額に差があるのが特徴です。最初の1年間は収入が低ければ保険料も安くなりますが、翌年は退職金などを含めて増額されるのでは?という心配が出てきます。
退職金は国民健康保険料の算定に含まれるのか?
結論から言うと、退職金そのものは原則として国民健康保険料の算定対象外です。なぜなら、退職金は「一時所得」に分類されるため、健康保険料の基礎となる「総所得金額等」に加算されない自治体がほとんどです。
ただし、一部の自治体では、退職金が「給与所得」と見なされたり、「年金・一時所得」として独自の計算式に含まれる場合もあるため、居住地の市区町村の公式サイトや窓口で必ず確認しましょう。
退職金が影響しそうなケースと具体例
例1:東京都内在住・2025年8月退職・退職金200万円を一括受取
→東京都23区では、退職金は基本的に国民健康保険の算定対象外のため、保険料に影響なし。
例2:一部自治体で「退職所得も一部加算される」との説明を受けたケース
→実際には、退職金を「雑所得」扱いしている可能性があり、計算に誤りがあることも。必要に応じて、税理士や社会保険労務士に確認するのも安心です。
どちらを選ぶべきか?判断基準のポイント
以下のような観点で比較すると、自分にとってどちらが得かが見えてきます。
項目 | 任意継続 | 国民健康保険 |
---|---|---|
保険料 | 2年間固定(高め) | 前年所得で変動(初年度は安め) |
加入期間 | 最大2年間 | 制限なし |
家族の扶養 | 被扶養者可 | 人数に応じて保険料増 |
手続き先 | 前職の健康保険組合 | 市区町村役所 |
また、今後すぐに再就職する予定がある場合は、国保のほうが短期での柔軟性が高いケースもあります。
まとめ:退職後の保険は「金額」だけでなく「将来設計」で選ぼう
退職後の健康保険選びでは、任意継続と国保の違いを正しく理解したうえで、自分のライフプランに合った選択が重要です。退職金の影響については、原則として国保の算定には含まれませんが、例外もあるため、市区町村に個別確認を取ることが最も確実です。
不安がある場合は、社会保険労務士や役所の保険担当に相談し、納得のいく保険選びをしましょう。
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