自営業と会社員で異なる年金制度の違いとは?国民年金の増額がなされない理由と今後の選択肢

年金

日本の年金制度は、職業によって加入制度が異なり、自営業者と会社員では支払う保険料や将来の年金受給額に差があります。とりわけ、自営業者の国民年金が「一律の保険料」であることに疑問を感じる人は少なくありません。本記事では、国民年金と厚生年金の違い、増額制度がない理由、そして補完的な選択肢について詳しく解説します。

国民年金と厚生年金の仕組みの違い

日本の公的年金制度は「2階建て構造」となっており、1階部分が全国民共通の国民年金(基礎年金)、2階部分が会社員や公務員が加入する厚生年金です。自営業者やフリーランスなどの第1号被保険者は国民年金のみに加入し、会社員などの第2号被保険者は厚生年金にも自動的に加入します。

具体的には、2025年時点で国民年金の保険料は月額約17,000円程度。一方、年収400万円の会社員が納める厚生年金保険料は会社との折半で月約25,000円(本人負担分)です。差額は明確で、そのまま将来受け取れる年金額の差に直結します。

なぜ国民年金には増額制度がないのか

国民年金は「最低限の保障」を目的とする制度として設計されており、保険料は全国一律とすることで公平性・徴収コストの低減・制度運営の簡素化が図られています。任意で支払額を増やせると制度運営が複雑になり、所得の多い層だけが多く給付を受ける“逆進性”も問題となります。

その代わり、個人のニーズに応じて任意加入できる補完制度が複数用意されています。

自営業者が年金を増やすためにできること

国民年金のみでは老後資金として十分とは言い難いため、以下のような補完制度の活用が推奨されています。

  • 国民年金基金:自営業者専用の上乗せ年金制度で、毎月の掛金に応じて将来の年金額を増やせます。
  • 付加年金:月額400円の追加で「200円×納付月数」の年金が加算される制度。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が全額所得控除され、老後に年金として受け取れる制度。税制優遇も魅力です。

これらの制度を併用することで、国民年金の少ない保障をカバーできます。

仮に選択式の保険料が導入された場合の課題

仮に「国民年金の保険料を任意で増額できる」制度が導入されるとどうなるでしょうか?最大の課題は制度の複雑化運営コストの増加です。また、支払能力に差がある中で、高所得者が多く受給できるようになると不公平感も増し、制度全体への信頼が損なわれかねません。

現在のように任意加入型の補完制度を別途設ける方式が、より実用的で柔軟に対応できるという見方もあります。

実際に年金受給額にどれくらい差が出るのか

厚生年金加入者と国民年金のみの自営業者では、老後の年金受給額に月10万円以上の差が出ることも珍しくありません。

例えば。

加入形態 月額保険料(概算) 老後の年金月額(概算)
国民年金のみ 17,000円 約65,000円
厚生年金(年収400万) 25,000円(本人負担分) 約150,000円

こうした差を補うには、国民年金基金やiDeCoの活用が非常に有効です。

まとめ:国民年金は補完制度とセットで老後を設計しよう

国民年金制度は「最低限の保障」であることを前提に作られており、厚生年金と同水準を目指すには自ら補完制度を活用する必要があります。一律保険料に疑問を感じる方こそ、国民年金基金・iDeCo・付加年金といった選択肢を積極的に検討し、将来の安心につなげましょう。

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