外貨建て保険は、金利が低迷する日本において「より効率的な資産運用」を期待できる商品として注目されています。その一方で、仕組みやリスクを正しく理解しないと「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性も。今回は、特に人気の高い明治安田生命の外貨建て保険「every body plus」を例に、外貨建て保険の特徴と注意点について分かりやすく解説します。
外貨建て保険とは何か?基本の仕組みを理解する
外貨建て保険とは、保険料の支払いや保険金の受取が円ではなくドルやユーロといった外貨で行われる保険商品です。国内の円建て保険よりも予定利率が高いため、資産運用効果を狙えるのが特徴です。
たとえば、「every body plus」ではドル建てで運用され、満期時には想定利回りに基づいた金額が外貨で戻ってくる仕組みとなっています。為替レートによっては受取金額が大きく変動する点が、円建て保険との大きな違いです。
設計書の「最悪でも増える」は本当か?注意したい3つのコスト
「10年後には最悪でも130万円増える」という設計書の記載は、あくまで為替変動がなく、所定の条件が続いた場合のシミュレーションです。実際の受取額は次の3つの要素に大きく影響されます。
- 為替差損:円高になれば、受け取れる円建て金額は減少。
- 為替手数料:ドル→円への両替時に1ドルあたり数円の手数料が発生。
- 保険コスト:解約控除や運用費用などが差し引かれる。
たとえば1ドル150円のときに加入し、満期時に1ドル130円になっていた場合、為替だけで13%程度損する計算になります。
メリットも確かにある!外貨建て保険の利点とは
リスクはあるものの、外貨建て保険には以下のようなメリットも存在します。
- 円建てより高い利率で資産運用が可能
- 万が一の保障がある(死亡保障など)
- 一定の非課税枠(相続税対策)を活用できる
特に相続対策や「運用+保障」を両立させたい人には適した選択肢となり得ます。貯蓄性と保障性のバランスが取れているのが外貨建て保険の魅力です。
外貨建て保険が向いている人・向いていない人
外貨建て保険が向いているのは、以下のような人です:
- 10年以上の長期運用が可能
- 為替リスクを理解し受け入れられる
- 相続対策や分散投資を考えている
逆に、以下のような人は避けた方が良いかもしれません。
- 短期で現金化する可能性がある
- 為替の上下に一喜一憂してしまう
- リスクを極力避けたい堅実派
契約前に確認したいポイントまとめ
加入前には以下の点をチェックしておきましょう。
- 為替変動が保険金にどう影響するか
- 解約時に発生する控除や手数料の詳細
- 設計書の「最低保証額」が円建てなのか外貨建てなのか
- 死亡保険金と解約返戻金の違い
販売員の説明だけに頼らず、金融庁のウェブサイトや保険商品の重要事項説明書なども活用して、情報を客観的に確認することが大切です。
まとめ:外貨建て保険は「リスクとリターン」のバランスを見極めて
外貨建て保険は、高利回りを期待できる反面、為替変動や手数料などのリスクも伴います。設計書上の利益を鵜呑みにせず、実際の運用条件や自身のライフプランに照らし合わせたうえで判断しましょう。
特に10年という長期契約の場合は、人生の変化や急な資金ニーズへの備えも忘れずに。慎重な判断が、後悔しない選択につながります。
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