介護と仕事の両立が社会的な課題となる中、2024年4月から介護休業制度が一部見直され、利用しやすくなりました。しかし、介護休業を取得した後にすぐ会社を退職した場合、支給された介護給付金の扱いについて疑問を持つ方も少なくありません。本記事では介護休業と介護給付金にまつわる制度の仕組みや注意点をわかりやすく解説します。
介護休業制度とは?
介護休業は、家族の介護を理由に一定期間休業できる制度で、原則として通算93日まで取得できます。労働者の雇用を守りつつ、介護と両立できる環境を整える目的で導入されています。
2024年の制度改正では、分割取得の柔軟性が高まり、特別な理由がなくても複数回に分けて取得しやすくなっています。
介護休業給付金とは?
雇用保険に加入している労働者が介護休業を取得した場合、一定の条件を満たせば「介護休業給付金」を受け取ることができます。これは雇用保険から支給され、原則として休業前の賃金の67%が支払われます。
支給対象は、原則として同一の事業主に1年以上継続して雇用されているなど、複数の条件が設けられています。
休業後にすぐ退職したらどうなる?
原則として介護給付金は返還不要です。支給は「介護休業を取得した事実」に基づくため、その後退職したとしても、制度の要件を満たしていれば給付金の返還義務は発生しません。
ただし、虚偽の申請や、介護目的でないことが明らかになった場合は、不正受給として返還および罰則が科される可能性があります。
実際にあったトラブル例と注意点
事例:ある会社員が介護休業を取得後、復職せずに退職したところ、会社側が「制度の悪用だ」として支給申請を取り下げようとしたケースがありました。結果として、ハローワークの判断により、適正な取得とされ返還は不要となりました。
注意点:介護休業後に退職を予定している場合でも、事前に会社と丁寧にコミュニケーションを取り、制度の理解を得ておくことが望まれます。
退職後の再雇用・再就職にも影響はある?
介護休業を経て退職した場合でも、再就職時に不利になることは原則ありません。ただし、再就職先での雇用保険加入要件や給付の再受給には影響する場合があります。
再雇用先での介護休業制度利用には、再度1年以上の勤務が必要になるなど、条件に注意が必要です。
まとめ:介護休業給付金は正しく使えば返還の心配なし
介護休業取得後に退職した場合でも、給付金は返還不要であることが基本です。大切なのは、制度を正しく理解し、誠実に利用すること。事前に会社と協議し、ハローワークへの相談も活用することで、不安なく介護と仕事の両立が目指せます。
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