経済的に厳しい状況に直面しているとき、カードローンの残りの枠を使って資金を確保したいと考える方も少なくありません。しかし、自己破産を検討している段階でのカードローンの利用には、重大なリスクが伴います。この記事では、そのリスクや法律的な観点からの注意点を分かりやすく解説します。
自己破産の手続きとカードローンの利用の関係
自己破産とは、支払い不能の状態にある債務者が裁判所に申し立てを行い、借金の免除を受ける手続きです。これは「誠実な債務者の再出発」を支援する制度であり、利用には厳密な条件があります。
一方、自己破産の前にあえて借入を行うと、「免責不許可事由」に該当する可能性があります。免責不許可事由とは、借金の免除(免責)を受けられなくなる原因のことで、その中に「浪費や不当な債務の増加」が含まれています。
直前の借入が問題視される理由
自己破産の申し立て直前にカードローンでお金を借りると、「返済する意思がないにもかかわらず借りた」とみなされ、詐欺的な借入と判断される恐れがあります。
実際の裁判例でも、破産申立前の数週間~数ヶ月の間にカードローンを利用していたことが問題視され、免責が認められなかったケースもあります。
「返すつもりだった」は通用するか?
よくある反論として「返すつもりで借りた」「生活費に充てただけ」といった主張があります。しかし、自己破産のタイミングでそれを主張しても、状況証拠によっては裁判所から否定される可能性があります。
たとえば、借入直後に破産の準備を進めていたことが判明すれば、「返済の意思がなかった」と判断されるリスクが高まります。
具体例:カードローン利用と破産手続きの交錯
ある事例では、Aさんが自己破産の相談を弁護士に行った後に消費者金融から30万円を借入。申立ての際にこの件が発覚し、裁判所から「免責不許可相当」とされました。
一方で、借入時点で破産の意志が固まっていなかったことを立証できたBさんは、裁量免責により免責を得た例もあります。つまり、状況によって結果が大きく異なるのです。
弁護士への早期相談が重要
自己破産を検討している場合は、なるべく早い段階で弁護士に相談しましょう。法律的なリスクを事前に把握することで、免責が認められない事態を避けられます。
また、借入を一切行わないことが最も安全であり、信用情報に傷がつくことなくスムーズに手続きが進む可能性が高くなります。
まとめ:安易な借入は未来を左右する
自己破産前のカードローン利用は、法律上も倫理的にも大きな問題を孕んでいます。一時的に資金が必要だとしても、その後の免責の可否に直接影響するため、慎重な判断が求められます。どうしても資金が必要な場合でも、まずは専門家に相談することが最善策です。
コメント