基礎年金の底上げと繰上げ受給の関係は?60歳から年金を受け取る前に知っておきたいポイント

年金

2024年から国会で議論が進んでいる「基礎年金の底上げ」法案は、将来の年金受給者にとって重要な制度改正です。とくに繰上げ受給を検討している方にとって、この底上げがどのような影響をもたらすかは気になるところです。本記事では、今後予定されている制度改正の内容と、それが繰上げ受給にどう影響するのかをわかりやすく解説します。

基礎年金の底上げとは何か?

政府は「将来的な生活保障の底上げ」として、基礎年金部分の給付額を増額する方向で調整しています。2024年の通常国会で議論された内容では、2040年代に向けて基礎年金の受給額を現行よりも月額数千円引き上げることが検討されています。

ただし、この制度改正は即時実施されるものではなく、数年かけて段階的に導入される見通しです。現段階で明確に決まっている実施時期はありませんが、「2030年前後」に最初の見直しが入る可能性が高いとされています。

繰上げ受給とその減額率について

年金は通常65歳から受給開始となりますが、60歳からの繰上げ受給も可能です。ただしその場合、1ヶ月ごとに0.4%ずつ減額され、最大で24%の減額となります(2022年4月以降の制度)。

たとえば65歳から月15万円を受け取る予定だった場合、60歳からの受給では15万円×0.76=11万4000円となります。

底上げされた年金額は繰上げ受給にも適用される?

ここが最も気になるポイントですが、原則として将来実施される「底上げ」が行われた場合、その時点で受給している人にも一律で反映される可能性が高いと考えられています。つまり、60歳から受給を始めたとしても、その後制度が変われば、底上げ分が加算される仕組みになる可能性があります。

ただし、具体的な反映方法や対象者については今後の制度設計次第となるため、注意が必要です。制度の導入前に受給開始した人が対象外となるリスクもゼロではありません。

仮に底上げが反映された場合の受給額シミュレーション

例として、基礎年金部分が月額6,500円底上げされたと仮定します(年額78,000円)。これを繰上げ受給の60歳から適用した場合、60歳受給額は24%減の補正が入るため。

  • 通常受給額(底上げ後):15万円+6,500円=156,500円
  • 繰上げ後の月額:156,500円×0.76=11万8940円

現行の11万4000円に比べて、月額5,000円近く多くなる計算です。

制度の影響を最大限に受けるには

基礎年金の底上げは長期的な社会保障改革の一環であるため、短期的な利益だけで判断するのは早計です。今後の見通しや制度改正の進捗をチェックしつつ、繰上げ・繰下げの選択は柔軟に対応するのが理想です。

また、自身の健康状態やライフプラン、就労状況によっても最適な受給時期は異なりますので、日本年金機構の年金見込額試算ツールなどを活用しながら判断しましょう。

まとめ:底上げと繰上げの影響を理解して戦略的に選択を

基礎年金の底上げが将来実施されれば、60歳からの繰上げ受給にもその恩恵が反映される可能性があります。ただし、受給時期によっては反映されないリスクもあるため、最新の情報に注意を払いながら、戦略的に受給タイミングを選ぶことが重要です。

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