年金制度にはさまざまな種類があり、特に「遺族年金」と「老齢年金」が関わるケースでは、併給の可否や優先順位が複雑になりがちです。今回は、老齢厚生年金と遺族厚生年金の関係に加え、老齢基礎年金と遺族基礎年金のパターンについても、わかりやすく解説します。
老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給パターン
まず押さえておきたいのが、老齢厚生年金と遺族厚生年金は同時に受け取れる(併給できる)ということです。ただし、その際にはどちらか一方を全額、もう一方は一部支給というような調整が行われるケースがあります。
たとえば、老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方に該当する場合、多くのケースでは老齢厚生年金が優先され、遺族厚生年金の一部のみが支給されることがあります。これを「支給調整」といいます。
遺族基礎年金と老齢基礎年金は併給できるのか?
遺族基礎年金と老齢基礎年金については、原則として併給は不可です。これは年金制度上、「基礎年金は1人1種類のみ」という大原則に基づいています。
そのため、たとえば40代で配偶者を亡くした方が、子の扶養を理由に遺族基礎年金を受給していた場合でも、65歳に達して老齢基礎年金の受給資格ができたときには、いずれかを選択する必要があります。
併給できる例外パターン
ただし、「遺族年金+老齢年金」の組み合わせにおいて、併給可能な組み合わせも存在します。以下のようなケースはその一例です。
- 遺族厚生年金+老齢基礎年金 → 併給可能
- 老齢厚生年金+遺族基礎年金 → 原則不可(選択が必要)
- 遺族基礎年金+障害基礎年金 → 併給不可(選択が必要)
このように、年金の「種類」や「組み合わせ」ごとに併給ルールが異なるため、制度を正しく理解することが重要です。
併給調整の具体的な仕組み
実際に支給される年金額は、併給調整により減額されることがあります。たとえば、老齢厚生年金を満額受け取る場合、遺族厚生年金は全額ではなく一部だけとなることがあります。
また、加給年金や振替加算が絡むケースでは、さらなる調整が必要です。自分にとって最も有利な選択肢を知るためには、年金事務所でシミュレーションを受けることが推奨されます。
実際の相談事例
たとえば、65歳の女性が夫の遺族厚生年金を受給している状態で、自身の老齢厚生年金の受給権が発生した場合、どちらかを選ぶのではなく、調整後の合算額が支給されるというケースがあります。
一方、遺族基礎年金と老齢基礎年金の組み合わせでは、「どちらか一方の選択」を迫られたという相談も実際に多数あります。
まとめ
遺族年金と老齢年金の併給については、厚生年金同士は一部併給が可能である一方、基礎年金同士は選択制であるなど、制度上のルールが明確に分かれています。自身が受け取れる年金の組み合わせについて正確に把握するには、年金事務所への相談やFPの活用が非常に有効です。
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