ふるさと納税をしたのに、住民税決定通知書に記載された控除額が思っていたよりも少なかった――そんな疑問を持つ人は少なくありません。特にワンストップ特例制度を利用した場合や、医療費控除を同じ年に申告した場合には注意が必要です。この記事では、控除額が予定通り反映されない理由や確認すべきポイントを解説します。
ふるさと納税の控除額はどう計算されるのか?
ふるさと納税の控除額は「寄附金額−2,000円」が原則ですが、実際の住民税控除には上限があります。控除には以下の2つの仕組みがあります。
- ① 住民税所得割からの控除(基本分+特例分)
- ② 所得税からの控除
ワンストップ特例制度を利用した場合、控除は全額住民税から行われます。一方、確定申告を行うと、一部は所得税からの還付となり、残りが住民税控除となります。
控除額が少ない原因とは?
たとえば、37,500円をふるさと納税し、2,000円を除いた35,500円が控除対象となる場合でも、住民税決定通知書に33,688円しか控除されていないというケースがあります。
この原因の多くは、確定申告を行ったことでワンストップ特例制度が無効になったためです。医療費控除などの理由で確定申告をした場合、ふるさと納税も一緒に申告していなければ控除が正しく反映されません。
医療費控除との併用で起きるワンストップ特例の取り消し
ワンストップ特例制度は「確定申告をしないこと」が前提です。つまり、あとから医療費控除などで確定申告をした場合、自動的にワンストップ特例が無効となります。
そのため、医療費控除を申告した年にふるさと納税の控除を受けるためには、寄付先や金額を改めて申告書に記載して確定申告を行う必要があります。
住民税決定通知書の「控除額」の内訳を確認する
住民税決定通知書には、「寄附金税額控除額」という項目があります。この金額が「住民税から控除された分」です。
確定申告をしていれば、住民税控除額と別に所得税からの還付が発生しているはずです。たとえば、以下のように配分されていた可能性があります。
- 住民税からの控除:33,688円
- 所得税からの還付:約1,812円
この場合、合計で35,500円=37,500円−2,000円が控除されたことになり、合計額としては正しく反映されています。
再確認すべきポイントと対応方法
まずは以下の項目を確認してみましょう。
- ① 医療費控除などで確定申告をしていないか?
- ② その際、ふるさと納税分の申告を追加していたか?
- ③ 所得税の還付通知にふるさと納税分が含まれていないか?
もし、ふるさと納税を確定申告書に記載し忘れた場合、「更正の請求」または「修正申告」で対応が可能です。税務署に相談して手続きを進めましょう。
まとめ
ふるさと納税の控除額が想定より少ないように見える場合、ワンストップ特例が無効になっていたり、住民税と所得税に分かれて控除されているケースがほとんどです。決定通知書だけでなく、確定申告内容や還付金通知などもあわせて確認し、必要に応じて修正申告を検討しましょう。
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