傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった際に支給される大切な収入保障です。しかし、結婚や扶養変更など、生活環境が変わるタイミングで「支給が止まるのでは?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。特に扶養の切り替えや健康保険の変更時は注意が必要です。
傷病手当金の支給条件の基本
傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気やケガで働けなくなった場合に、4日目以降から最長1年6か月間支給されます。主な支給条件は以下のとおりです。
- 健康保険の被保険者であること
- 業務外の傷病によって労務不能であること
- 連続して3日以上仕事を休んでいること(4日目から支給)
- 休業中に給与の支払いがない、または減額されていること
支給金額は、原則として「支給開始前12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3」が日額の目安になります。
扶養に入ることで支給は止まる?
扶養に入ること自体が、傷病手当金の支給停止理由になることは原則としてありません。大切なのは、傷病手当金が支給される「健康保険の被保険者資格」が維持されているかどうかです。
例えば、勤務先の健康保険に加入していたが退職し、任意継続している状態であれば、結婚して夫の扶養に入る=夫の健康保険に切り替えると、「元の保険の被保険者資格を喪失」するため、その時点で支給は打ち切られます。
結婚後に夫の扶養へ入る際の注意点
夫の健康保険に切り替えた時点で、元の健康保険から脱退することになります。これにより、その健康保険から支給されていた傷病手当金は終了します。
仮に結婚しても、現状の保険を「任意継続」または「国民健康保険」などで維持していれば、支給は続く可能性があります。ただし、任意継続では傷病手当金の継続支給はないため注意が必要です。
一方、退職後に国民健康保険へ加入しても、基本的に国保には傷病手当金制度が存在しません(自治体によって独自に設けている場合を除く)。
傷病手当金を満期まで受け取るための選択肢
もし現在、会社の健康保険(協会けんぽなど)から傷病手当金を受給中で、退職済みであれば、扶養に入らず、そのまま被保険者資格を保持することが満期までの受給継続には最も安全な選択肢です。
ただし、その場合でも健康保険料の自己負担が必要となるため、経済的な負担とのバランスを考慮する必要があります。
また、既に退職済みで、被保険者でなくなった後に「任意継続被保険者」へ切り替えた場合、原則として傷病手当金の新規支給や継続支給は受けられません。
具体的な対応の例
例えば、2023年10月に傷病手当金の受給を開始し、2024年6月に結婚して夫の扶養に入った場合、その時点で保険資格が変更されると支給は停止される可能性が高いです。
一方で、夫の扶養に入らずに、自分で保険料を支払いながら今の健康保険を継続すれば、最長で2025年4月頃まで受給が続けられるケースもあります。
まとめ
結婚や扶養変更は、傷病手当金の支給に直接影響することはありませんが、健康保険の資格喪失が起きた場合は支給停止につながります。満期まで傷病手当金を受け取りたい場合は、扶養に入らず自分で保険資格を維持する必要があります。保険制度は複雑なので、不安がある場合は保険組合や社会保険労務士に早めに相談することをおすすめします。
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