低金利時代が続いた日本でも、近年ネット銀行を中心に定期預金の利率が上昇傾向にあります。今までの定期預金をそのまま継続すべきか、それとも乗り換えるべきか。金融リテラシーのある人ほど、この損得判断に迷うものです。今回は具体的な数値を元に、どの選択がより賢いかを分かりやすく解説します。
現在預けている定期預金の条件を再確認
まずは現在の定期預金の条件を整理しましょう。令和6年1月に、利率0.4%・3年満期で1000万円を預けたとします。単利での利息を想定した場合、3年間で得られる利息は約12万円です。
【計算例】1000万円 × 0.004 × 3年 = 12万円
毎年約4万円の利息が付きます。
新たな定期預金の条件と比較する
令和7年6月時点で、次のような魅力的な金利商品が出てきました。
- 5年で年利1.5%
- 1年で年利1.2%
仮に1000万円をこれらに預け直した場合、以下のような利息が期待できます。
【5年・1.5%の場合】1000万円 × 0.015 × 5年 = 75万円
【1年・1.2%の場合(1年のみ預ける想定)】1000万円 × 0.012 = 12万円
乗り換えのタイミングによる影響を考慮する
現在の定期預金は1年半しか経過していないため、中途解約になる可能性が高いです。多くの銀行では中途解約の際に、当初契約よりかなり低い「中途解約利率」が適用されます。たとえば0.02〜0.05%まで下がることもあります。
したがって、途中で解約する際の「減収」と、乗り換え先の「増益」を慎重に比較する必要があります。
乗り換え判断に必要な比較計算
仮に中途解約の利率が0.03%だった場合、これまでの1年半で得られる利息は次のようになります。
1000万円 × 0.0003 × 1.5年 = 約4500円
つまり、途中解約しても約4500円の利息しかつかないと仮定した場合、新しい1年定期に乗り換えれば1年間で12万円の利息が見込めるため、圧倒的に乗り換えの方が得という判断が可能です。
定期預金選びで重視したいその他の要素
利率だけでなく、以下の点も選択時には重要です。
- 預金保護制度(ペイオフ)対象か
- 中途解約の柔軟性
- 複利型 or 単利型
- 資金の拘束期間
また、流動性を確保するために全額ではなく一部を新しい商品に移すという選択も有効です。
まとめ:乗り換えの判断は「利率」×「期間」×「柔軟性」
利率が上がっている今、資金の置き場所を見直すことは非常に理にかなっています。ただし、中途解約時の利率や手数料の影響を事前に確認することが重要です。
計算上は、1.2%の1年定期に乗り換える方がはるかに得ですが、元の定期預金の条件を再確認した上で、安全性と収益性のバランスを見極める判断が求められます。
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