企業型確定拠出年金(企業型DC)における「ライフプラン支援金」は、将来の資産形成を支援するために会社から支給されるお金の一部を、自分で拠出(積み立て)するか、現金で受け取るかを選べる制度です。「老後資金を増やすチャンス」と言われる一方で、「今の生活を優先したい」という声もあり、選択に悩む人も多いでしょう。この記事では、拠出と受取の違い、税制面のメリット、実際の選択基準などをわかりやすく解説します。
ライフプラン支援金とは?企業型DCにおける仕組み
ライフプラン支援金とは、企業が社員に対して支給する金額(福利厚生の一部)を、確定拠出年金に上乗せ拠出するか、現金として受け取るかを選べる仕組みです。
会社によっては、給与やボーナスとは別枠で年数万円〜数十万円の支援金を用意し、「老後資金として使ってもらいたい」との意図でこの制度を提供しています。
拠出(積立)と受取(現金)の違いとは
ライフプラン支援金の選択は大きく2通りです。
- ・拠出を選ぶ:確定拠出年金口座に追加され、税制優遇を受けながら資産運用に回せる
- ・受取を選ぶ:現金として支給されるが、課税対象(給与所得)となる
拠出を選ぶと所得税や住民税がかからず、掛金は全額非課税で積み立て可能です。一方、現金で受け取ると給与と同様に課税されるため、手取りベースでは実質的に減額されることがあります。
長期で見れば「拠出」が有利な理由
確定拠出年金では、運用益がすべて非課税(運用益非課税)で積み上がっていくため、長期で見れば大きな差が生まれます。
たとえば、ボーナス時に支給される6万円を拠出に回し、年利3%で20年運用した場合、元本だけでなく運用益込みで約10万円近くのリターンになる可能性があります。現金で受け取り、税引き後で手取り約4.8万円になった場合と比較しても、差は明らかです。
「今の生活」重視なら現金受取も一つの選択肢
一方で、育児・教育費やローン返済など、現在の生活コストが高い世帯にとっては、現金受取の選択も合理的です。特に将来の収支見通しが不安定な場合や、運用リスクを避けたいときは無理に拠出せず、資金繰りの安定を優先する考え方もあります。
このような場合は、「今は現金受取」「将来生活が落ち着いたら拠出コースに変更」など、柔軟な見直しを意識するのが有効です。
実例紹介:月4,000円+ボーナス拠出 vs 月10,000円フル拠出
例①:月4,000円拠出+ボーナス時24,000円拠出+36,000円受取→生活費の余裕を保ちながら最低限の積立も継続。
例②:月10,000円拠出+ボーナス時60,000円全額拠出→税制メリットを最大限活用して老後資金を厚く形成。ただし、目先の資金流動性は落ちる。
どちらが良いかは、「現金の必要性」×「運用期間の長さ」×「ライフプランの優先度」で異なります。
まとめ:税制優遇と将来資産形成を活かすなら「拠出」がおすすめ
ライフプラン支援金は、現金で受け取ることもできますが、非課税で老後資金を増やせる貴重な制度です。運用期間が長ければ長いほど複利の効果も期待でき、受取と比べて大きな差が出る可能性があります。
ただし、生活にゆとりがない場合や運用リスクが不安な方は無理に拠出せず、現金を選ぶ柔軟さも必要です。自分の将来像と今の家計を見つめ直し、最適な選択をしていきましょう。
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