会社員が病気やけがで働けないときの生活を支える「傷病手当金」は、退職後でも条件を満たせば受給を継続できます。しかし、申請方法や退職時の注意点を誤ると、支給対象外となることも。この記事では、協会けんぽの傷病手当金を退職後も正しく受け取るための手続きや要点をわかりやすく解説します。
傷病手当金の基本的な受給条件
傷病手当金は、以下のすべての条件を満たした場合に支給されます。
- 業務外の傷病によって働けない
- 連続した3日間の待機期間を含めて4日以上の労務不能がある
- その間に給与の支払いがない
- 健康保険の被保険者である
退職後に継続して受給する場合、在職中にすでに支給を開始していること、または退職日までに受給条件を満たしていたことが必要です。
退職後の申請はどこにどうやって?
退職後は、ご自身で協会けんぽの窓口(または郵送)で申請することになります。会社が申請を代行するわけではないため、書類の準備や提出は自身で行う必要があります。
提出する申請書類は主に以下の通りです。
- 傷病手当金支給申請書(本人記入用)
- 医師の意見書欄が記入された同書類
- 勤務先に記入を依頼した「事業主記入欄(退職まで)」
退職後の分は事業主記入欄が不要となるため、本人記入欄と医師の意見書のみで申請可能です。
退職日と有給取得日の注意点
退職日に関しては、出勤してしまうと受給資格がなくなる可能性があるため注意が必要です。基本的には、退職日を含む日に働いていないことが条件となります。
ただし、退職日に有給休暇を取得している場合は「労務不能」の状態とみなされない可能性があります。この点は協会けんぽの支部に確認を取りましょう。判断が支部によって異なることもあります。
「退職日を含む4日間出勤禁止」は本当か?
ネット上で見かける「退職日を含む4日間出勤しないように」という情報は、待機期間3日間に関連しています。しかし、すでに在職中に待機期間を終えて支給を受けている方には関係ありません。
退職日に出勤せず、健康保険の資格喪失後も傷病が継続していれば、支給が続く可能性が高いです。
任意継続と傷病手当の関係性
退職後に「任意継続被保険者」として健康保険に加入しても、その資格では傷病手当金は支給されません。あくまで在職中の被保険者としての資格によって、退職後も支給される仕組みです。
任意継続の手続きと傷病手当金の受給は別物ですので、混同しないよう注意しましょう。
実例で見る申請の流れ
ある会社員の方は、うつ病で3ヶ月間休職し傷病手当金を受給。その後、復職できずに退職したが、退職日も出勤せず、医師の証明書を添えて申請を継続。退職後も無事に1年を超えて支給されました。
この方は、申請書類を自分で整えて郵送で提出し、2ヶ月に1度のペースで継続申請を行っていました。
まとめ:退職後も安心して申請するために
退職後に傷病手当金を受け取るためには、退職日を出勤せずに迎えること、支給条件を在職中に満たしていること、そして退職後は自身で正しく申請を行うことが重要です。
書類や条件に不安がある場合は、早めに協会けんぽの担当支部に相談することをおすすめします。安心して療養に専念できるよう、制度を正しく活用していきましょう。
コメント