投資をしている人にとって、「株を保有し続けてリターンを得るか」「ローンを早期に返済して利息を抑えるか」という判断は非常に悩ましいものです。特に、ローン金利と投資リターンの数字が近い場合、単純比較だけでは判断が難しくなります。この記事では、S&P500などの米国株を保有しながら、ローンを支払うことのメリット・デメリットをファイナンスの観点から丁寧に解説します。
5%の株式リターンと6%のローン金利を単純比較するとどうなるか?
まず基本として、年利5%のリターンを得られる投資と、6%のローン金利を比較した場合、理論的には「マイナス1%」となるため、ローンを早期返済した方が金銭的には有利になります。
例:100万円を5年投資して5%の複利で回すと、約127万円になります。一方、同額のローンを6%で5年間借りると返済総額は約133万円。この差は約6万円です。
実際の投資リターンは確定ではないことに注意
S&P500は過去の実績から年間平均リターン5〜7%前後を見込める指数ですが、元本保証ではありません。一時的な暴落や数年間マイナスが続くこともあり得ます。
特に購入タイミングが下落局面と重なると、5年程度の短期保有では損失が出る可能性もあるため、投資リスクを考慮した判断が必要です。
「複利の力」と「利息の重さ」を見落とさない
一見、1%の差であっても、ローン返済においては複利的に利息が加算されるため、5年間という期間が長くなるほど支払総額は増えます。
一方で、投資では複利が「味方」になりますが、リターンが確定でないことを踏まえると、一定のタイミングで元本が必要になる支出には向いていないと言えるでしょう。
心理的な負担も比較材料に含めよう
ローンを抱えていることで精神的なストレスを感じる人も多く、そうした場合は多少損をしても一括返済でスッキリする選択肢も合理的です。
一方で、資産の一部を運用に残すことで資産成長のチャンスを維持したいという人もおり、これは性格や家庭のキャッシュフロー状況によっても異なります。
一部売却という選択肢も有効
もし米国株の評価額が充分にある場合は、「一部を売却して元本を減らし、残りは運用を継続する」という折衷案もあります。これにより、返済総額を抑えつつ投資も維持でき、リスクを分散することが可能です。
例えば、100万円のうち60万円を売却して繰上返済に使い、残り40万円は投資継続というようなバランスです。
まとめ:確定した負債 vs 不確実な利益をどう見るか
6%のローン金利と5%の投資リターンという数字だけを見ると、一括返済の方が合理的です。しかし投資リターンが想定通り得られる保証がないこと、ローンの利息は確実に支払う義務があることを考えると、精神的・資金的な余裕に応じて柔軟な判断をすることが重要です。迷ったときは「一部返済+一部保有」など段階的な戦略を選ぶのも賢い方法です。
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