配偶者が退職した後、協会けんぽの被扶養者として健康保険に加入できるかどうかは、多くの方が悩むポイントです。特に60歳以上の方の場合、失業保険の有無や金額、収入の見方など複雑な判断基準があり、不安に思うのも無理はありません。本記事では、協会けんぽにおける扶養追加の条件を分かりやすく解説し、退職後の健康保険選択の一助となるようお伝えします。
協会けんぽの扶養に入れる基本条件
協会けんぽにおける被扶養者の条件は、主に以下の3点です。
- 年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)
- 被保険者の収入の半分未満であること
- 恒常的な収入がないこと(失業保険含む)
この3つの条件を全て満たしているかどうかが審査のポイントになります。
退職後の年収の考え方:1月~退職月の収入は含まれる?
協会けんぽの扶養認定では、「退職後の今後12か月の見込み収入」で判断されます。つまり、1月〜7月の収入実績があっても、それは『過去の収入』であり、退職後の見込み収入が年額130万円(60歳以上の場合は180万円)未満であれば、扶養に入れる可能性があります。
ただし、パートなどの再就職や継続収入が見込まれる場合は、それも加味されます。
失業保険を受給する場合の注意点
失業保険を受け取る期間中は、「恒常的な収入がある」とみなされるため、基本的に扶養には入れません。ですが、60歳以上の方に関しては、基本手当日額が1日5000円以下であれば、例外的に扶養に入ることが可能です。
たとえば、ハローワークで支給決定された手当日額が4950円であれば、審査を通る可能性があります。ただし、この基準は健康保険組合ごとに微妙な運用差があるため、必ず協会けんぽに確認しましょう。
手続きに必要な書類と申請の流れ
協会けんぽの扶養追加には、次のような書類が必要です。
- 扶養申請書(被扶養者異動届)
- 退職証明書または離職票
- 収入がわかる書類(給与明細、失業給付受給資格者証など)
- 世帯全員の住民票
これらを揃えて、ご主人の勤務先経由で協会けんぽに提出するのが一般的です。
よくある勘違いとその注意点
「年金を受け取っていないから収入ゼロ」という考えは間違いではないものの、失業給付がある間は収入扱いとなるため、審査に影響します。また、扶養追加は「自動的に」認定されるものではなく、すべての判断は協会けんぽ側に委ねられる点にも注意が必要です。
加えて、退職後に国民健康保険に切り替えたまま手続きを放置していると、二重保険や資格喪失のトラブルになる可能性もあります。
まとめ:扶養追加は「今後の見込み収入」がポイント
協会けんぽにおける扶養認定の可否は、「過去の実績収入」ではなく、「今後の見込み収入」が中心です。失業保険の受給状況や金額も慎重に判断されます。特に60歳以上の方の場合は日額5000円の基準を参考に、事前に必要書類をそろえて協会けんぽまたは勤務先に相談しましょう。
退職後の保険制度は複雑になりがちですが、正しい知識と手続きで安心した生活を送る第一歩となります。
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