メルカリやヤフオクなどで物を売った経験がある方は、「この売上って確定申告が必要なの?」と疑問に思ったことがあるでしょう。特に不要品の処分と、いわゆる“せどり”のような販売ビジネスとの違いは税金の扱いに大きく関わってきます。この記事では、生活用動産と事業的取引の線引き、税務署がどのように調査・判断するのかを具体例を交えて解説します。
生活用動産の売却は原則非課税
まず、生活用動産(=自宅で使っていた家電や衣類、家具など)を売った場合、税金はかかりません。これは所得税法第9条に基づく非課税所得に該当するためです。
たとえば、「昔使っていた炊飯器を2,000円で売った」「不要になったベビーカーを1万円でフリマに出した」というケースでは、基本的に非課税ですので、確定申告の必要もありません。
課税対象になるのはどんな取引?
一方で、せどりや転売など、明らかに利益目的で物を仕入れて販売している場合は、原則として「事業所得」または「雑所得」に該当し、課税対象になります。特に次のような行為がある場合は注意が必要です。
- 新品の商品を仕入れて短期間で再販売
- 売買が継続的・反復的に行われている
- 年間の売上が一定額を超えている
- 利益を目的としたアカウント名やショップ名を使用
これらに該当すると、帳簿や確定申告書の提出が求められます。
税務署はどうやって「転売」と「不用品処分」を見分けるのか?
税務署は、取引内容や金銭の流れを以下のような方法で把握することが可能です。
- フリマアプリやオークションサイトの取引履歴(一部は税務署に情報提供)
- 銀行・決済サービスの入出金履歴
- 本人からの申告内容
- SNSやブログでの販売活動の記録
売買が頻繁に行われ、同種の商品ばかりを短期間で扱っていた場合は、生活用動産の売却ではなく、営利目的の販売と判断されるリスクが高くなります。
仕入れ記録がない場合でも課税されるのか?
仮に仕入れた証拠(領収書など)がない場合でも、販売が継続的・反復的であれば、税務署は実態に基づいて課税判断を行うことが可能です。
記録が残っていない=課税されない、というわけではありません。特に、入金口座に同じような金額が繰り返し入っているなど、収入実態が確認できれば、推計課税(証拠が不十分な場合でも過去の平均などから課税すること)も行われることがあります。
実例:課税対象とならなかった/なったケース
【非課税となったケース】
主婦のAさんが、自宅の不用品(ベビー服、使わなくなった食器など)をメルカリで合計5万円売却。取引は数か月に一度、アカウント名も本名で商売的な活動は一切なし。
→ 非課税で確定申告不要。
【課税対象となったケース】
会社員のBさんが副業として新品のスマホケースを大量に仕入れ、毎月5万円〜10万円分を販売。仕入れ記録はなしだが、PayPay残高の入出金履歴から税務署が把握。
→ 雑所得として課税対象、無申告加算税も。
まとめ:非課税と課税の違いを理解して安心取引を
自宅の不要品をたまに売る程度であれば、原則として非課税で問題ありません。しかし、継続的な売買や仕入れ行為が見られる場合は、税務上は事業として扱われ、課税対象となる可能性があります。
税務署は取引履歴や口座情報をもとに調査するため、記録がなくても安心はできません。収入が一定以上ある場合は、確定申告の準備をしっかり行い、グレーな取引を避けることが大切です。
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