パート・アルバイトとして働きながら「130万円の壁」を意識して収入を調整している方は多いでしょう。特に従業員50人以下の企業では、一定の条件を満たせば社会保険への加入義務がなく、配偶者の扶養に入れる仕組みとなっています。しかし、この制度の見直しや拡大が議論されており、将来的にルールが変わる可能性がある点は知っておくべきです。
現在の「130万円の壁」とは?
130万円を超えると健康保険の扶養から外れ、自身で社会保険に加入する必要が出てきます。ただし、この基準は「被扶養者」として認定される収入の上限であり、企業規模によっても実際の加入義務には差があります。
具体的には、従業員が常時501人以上の企業では、週20時間以上・年収106万円以上などの条件を満たすと社会保険に加入義務が発生します。反対に、従業員が50人以下の企業では、この義務は原則としてありません。
50人以下の会社でも将来加入義務が広がる?
政府は「短時間労働者への社会保険適用拡大」を段階的に進めています。2022年10月には従業員101人以上、2024年10月には51人以上の企業に対象が拡大されました。今後さらに50人以下の企業へも適用が拡大される方針が示されており、実現すればパートでも社会保険加入が義務化される可能性が高まります。
厚生労働省の資料では、制度拡大により働く人の保障が手厚くなることや、将来の年金受給額増加を狙う目的が強調されています。
今後の見通し:制度変更のスケジュールと議論状況
現時点では「50人以下の企業への義務化」は正式に決定されていませんが、すでに制度拡大の流れができており、2030年までのいずれかのタイミングで実施される可能性は十分あります。
政府の検討会資料では、企業規模の条件撤廃や、本人の意向による加入なども検討されており、働き方や家計設計に大きな影響を与えることが予想されます。
扶養にとどまるべきか?加入すべきか?判断のポイント
収入を130万円未満に抑えて扶養にとどまる場合、保険料の負担はゼロですが、将来の年金額や医療保険の自己負担割合などに影響があります。
逆に、社会保険に加入することで保険料の負担は発生しますが、将来的な年金額の増加や、傷病手当金・出産手当金などの給付も受けられるようになります。
扶養にとどまるかどうかの判断は「目先の節税」だけでなく「将来の保障」とのバランスを考えることが大切です。
具体例で考える:扶養内で働くAさんと加入したBさん
【Aさん(扶養内)】
年収:125万円
社会保険:夫の扶養
保険料:本人負担なし
年金:国民年金第3号として加算
【Bさん(社会保険加入)】
年収:135万円
保険料:約18万円(健康+年金)
年金:厚生年金で将来支給額が上昇
その他:傷病手当金や育休手当の対象に
Bさんの方が手取りはやや減りますが、長期的には受けられる保障が厚くなります。
まとめ:130万円の壁と今後の制度変更に備えよう
「130万円の壁」は、現在も多くのパート主婦・主夫が意識して働いている基準ですが、将来的には企業規模を問わず社会保険加入の義務が広がる可能性があります。特に50人以下の企業に勤める方も、今後の法改正に備えて「いつか変わる」という前提で働き方を考えておくのが賢明です。
定期的に厚生労働省の発表やニュースをチェックし、自分のライフプランに合った働き方を見直していきましょう。
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