退職直後の医療費負担は、多くの人にとって不安な問題です。とくに「健康保険が切れた直後に再診を受ける場合、自費になるのか?」という点は、実際の制度を理解しておく必要があります。この記事では、健康保険の資格喪失後に受診する場合の医療費の扱いや、その対処法についてわかりやすく解説します。
健康保険の資格喪失日は退職日の翌日
一般的に、健康保険は「退職日の翌日」に資格を喪失します。たとえば、2024年5月20日に退職した場合、保険の有効期限は2024年5月20日までとなり、5月21日以降は健康保険証が無効になります。
つまり、5月21日以降に病院に行くと、健康保険証が使えず、原則として10割負担の自費診療になります。
同じ病院・違う病院の違いは関係ない
よくある誤解として、「同じ病院なら継続治療だから保険扱いになるのでは?」という疑問があります。しかし、保険適用の有無は診療日ごとの保険資格の有無で決まります。
そのため、同じ皮膚科でも、別の皮膚科でも、5月21日以降で保険資格がない状態ならすべて自費扱いになります。
退職後に使える「継続医療」の選択肢
保険資格が切れた後でも、次の3つの方法で保険適用を継続できます。
- ① 任意継続被保険者制度
退職前の健康保険を最長2年間継続できる制度です。退職後20日以内に手続きが必要です。 - ② 国民健康保険への加入
市区町村の役所で手続きを行い、保険証の発行を受けることで公的医療保険を維持できます。 - ③ 家族の扶養に入る
配偶者や親などの被扶養者として健康保険に入る方法もあります(審査あり)。
いずれも手続きを早めに行えば、手続き後に保険証が届く前でも「遡って保険扱い」にすることが可能です。
いったん自費でも後日払い戻し可能なケース
保険証がまだ発行されていない段階で自費で受診した場合も、「療養費の支給申請」を行えば、後日7割分が返金されます。
この場合、領収書を必ず保管し、保険証が発行された後に申請書類とともに提出する必要があります。返金までには1〜2ヶ月かかることがあります。
まとめ
健康保険の資格は退職翌日から喪失するため、同じ月内であっても退職日以降の受診はすべて自費診療扱いになります。再診や別の病院かどうかは関係ありません。早めに任意継続、国保、扶養のいずれかを選んで手続きすることで、医療費負担を抑えることができます。すでに受診してしまった場合でも、療養費支給申請による払い戻しが可能なため、領収書の保管と手続きが重要です。
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