近年、お米の価格がじわじわと上昇していることに対し、「昔は5キロ1700円くらいだったのに」と感じる方も多いはず。一方で、農業を取り巻く環境も年々厳しくなり、「むしろこれまでが安すぎた」という声もあります。主食である米の価格は、消費者の生活に直結するだけでなく、生産者である農家の生計にも関わる重要なテーマです。
なぜお米の値段が上がっているのか?
お米の価格が上昇している理由は、主に以下のような背景があります。
- 肥料・燃料・物流コストの上昇:輸入資材の高騰が農家の負担に。
- 人手不足と高齢化:農業の担い手が減り、生産性が落ちている。
- 異常気象:高温や豪雨により収穫量が不安定になっている。
こうした状況のなかで、「お米5キロ=2000円超え」は今や特別な話ではなく、流通経費や利益を考慮すればむしろ適正価格に近いとも言えます。
農家側の視点:米は本当に“高い”のか?
農家にとっては、「5キロ1700円」で売られているお米から実際に手元に残るのはごくわずかです。JAや業者を通じた出荷の場合、農家の手取りは1キロあたり100〜150円台となることも。
例えば、1反(約10アール)で600キロの米が取れたとしても、売上は10万円以下。そこから種代、肥料、機械維持費を差し引くと、ほぼ利益が出ないこともあります。
このような現実が、「もっと米に適正な価格をつけてほしい」「消費者がもう少し負担を理解してほしい」という農家の声につながっています。
消費者の視点:生活に直結する価格への負担
一方で、収入が伸び悩む中、物価全体が上昇している現在、食費にかけられる予算も限られます。特に、手取り20万円台以下の家庭にとって、食料品の数百円の値上げは無視できない負担です。
「米は主食だからこそ安くあってほしい」という声は当然であり、農業支援や価格補助など、国の仕組みが必要だと感じる方も多いでしょう。
海外と比較してみる:タイのお米事情
質問にあるように、タイでは米が1キロあたり約180〜300円。仮に中間値の240円だとすると、5キロで1200円になります。月収約11万円の国民にとって、この価格は日本人の感覚よりも割高に感じられるかもしれません。
つまり、世界中どこでも「米の価格=家計への影響」は重く、日本だけが特殊というわけではありません。
「いくらなら買いたい?」消費者のリアルな声
お米を毎日食べる家庭では、5キロで2000円前後が“心理的に納得できる”限界という声が多いです。一方で、たまにしか食べない人なら「品質が良ければ2500円でもOK」という意見も。
重要なのは、価格と満足度のバランスです。安いお米を選んで満足できないより、少し高くても味や安心感を重視する選択も一つの価値観といえるでしょう。
まとめ:お米の価格は“安ければいい”だけではない
お米の価格は、消費者の家計と農家の経営、そのどちらにも深く関わるデリケートな問題です。「5キロ1700円が安すぎた」という側面もあれば、「今の2000円超えはきつい」という本音も事実。
重要なのは、自分の収入や生活に合った買い方を選ぶと同時に、農業を支える視点も持つことです。国や社会全体で支え合えるような仕組みが、今後ますます求められていくでしょう。
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