地域マルシェやイベントを主催する際、飲食ブースや手作り雑貨の販売者にPL保険(生産物賠償責任保険)への加入を求めるケースが増えています。特に食品を提供する出店者が万が一、食中毒などのトラブルを起こした場合、主催者も責任を問われる可能性があるため、保険の活用は非常に重要です。
PL保険とは?イベント主催者が知っておくべき基本
PL保険(生産物賠償責任保険)とは、販売・提供した製品や飲食物が原因で発生した事故・損害に対して、賠償責任を補償する保険です。イベントで提供される食品や商品が対象となるため、キッチンカーや飲食出店者には特に必須です。
例えば、提供したサンドイッチで食中毒が起きた場合、PL保険に加入していれば損害賠償金・訴訟費用などを補償してくれます。
1日単位で加入できるPL保険はあるのか?
近年、イベントやマルシェ向けに1日・短期型のPL保険を取り扱う保険会社や代理店が登場しています。通常の年間契約に比べ、費用が抑えられ、趣味で出店する個人にとっても加入のハードルが下がっています。
代表的な例としては以下のようなものがあります。
- 三井住友海上「イベント出店者用短期保険」
- 東京海上日動の短期PLプラン(取り扱い代理店に要確認)
- オンラインで加入可能なイベント出店者保険サービス(例:イベント保険.com など)
これらは、ネット上で簡単に申し込み可能な場合も多く、主催者が出店者にリンクを共有することでスムーズに導入できます。
保険料の目安と補償内容
1日型のPL保険の保険料は、内容や補償金額にもよりますが、1日500円〜1,500円程度が一般的です。補償内容には以下が含まれることが多いです。
- 対人・対物賠償(例:来場者への食中毒、展示物落下による怪我)
- 訴訟費用や弁護士費用
- 主催者の求償に応じる補償
出店者自身の規模やリスクに応じて、補償額は500万円〜3,000万円の間で設定されることが多くなっています。
主催者としてのリスク管理と保険の促進
主催者側が「PL保険加入を義務化」もしくは「推奨」することで、出店者・来場者の安全対策を高めることが可能です。たとえば、申込書類に「保険加入証明書の写しを提出」と記載すれば、最低限の担保が確保できます。
一部主催者では、団体契約としてイベント保険を一括でかけるケースもあり、その費用を出店料に含める運用も現実的です。これにより、出店者ごとの保険加入忘れを防げます。
PL保険未加入によるリスク事例
2021年に開催された地方マルシェで、ある個人出店者が提供した食品による腹痛が発生し、来場者2名が病院に搬送される事故が起こりました。当該出店者はPL保険に未加入だったため、最終的に主催者側が示談金と治療費を支払う結果になりました。
このような事態を防ぐためにも、短期型PL保険の活用は今やスタンダードとなりつつあります。
まとめ:出店者も主催者も安心できる環境づくりのために
マルシェやイベントの開催において、PL保険は「もしも」の備えとして非常に重要です。特に短期・1日単位で加入できる保険が普及したことで、誰でも気軽に備えることができる時代になりました。
主催者としては、保険加入を促すことでイベント全体の安全性と信頼性を高め、来場者に安心して楽しんでもらえる空間をつくることができます。出店者への案内資料や申込フォームには、必ずPL保険に関する記載を加えましょう。
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