医療法人勤務で社会保険が未加入？正社員が知っておくべき制度と対応策

医療法人に正社員として就職する際、社会保険の加入状況に疑問を持つ方も少なくありません。特に、労災保険や雇用保険には加入しているものの、健康保険や厚生年金が未加入というケースでは、法的な適用義務や事業所の運営形態について理解を深めることが重要です。

社会保険と労働保険の違いを理解する

まず、社会保険と労働保険の違いを明確にしましょう。社会保険は主に「健康保険」と「厚生年金保険」を指し、従業員の健康や老後の生活を支える制度です。一方、労働保険は「労災保険」と「雇用保険」を含み、労働中の事故や失業時の保障を目的としています。

これらの保険は、それぞれ加入義務や適用条件が異なります。特に、社会保険の適用は事業所の形態や従業員数に大きく影響されます。

医療法人は法人格を持つため、原則として社会保険の適用事業所となります。つまり、従業員を雇用する場合、健康保険と厚生年金保険への加入が義務付けられています。これは、法人である以上、従業員数に関係なく適用される規定です。

ただし、実際には一部の医療法人で社会保険の未加入が見受けられることがあります。これは、制度の誤解や手続きの遅れ、あるいは意図的な回避によるものかもしれません。

「医療法人 ◯◯会 ◯◯歯科医院」という表記から法人であると判断できますが、実際には「◯◯会」が法人格を持ち、「◯◯歯科医院」がその事業所である場合があります。このような場合でも、法人が運営する事業所であれば、社会保険の適用義務は生じます。

一方、個人事業主が運営する歯科医院で、常時雇用する従業員が5人未満の場合は、社会保険の加入は任意となります。ただし、労災保険や雇用保険については、従業員を1人でも雇用すれば加入義務が発生します。

正社員として雇用される場合、社会保険への加入が原則となります。特に、週の所定労働時間が20時間以上で、かつ雇用期間が2ヶ月を超える見込みがある場合は、社会保険の適用対象となります。

また、2022年10月からの法改正により、従業員数が101人以上の事業所では、短時間労働者でも一定の条件を満たせば社会保険の加入対象となりました。2024年10月からは、この基準が従業員数51人以上に拡大される予定です。

社会保険に未加入のまま働くと、将来的な年金受給額の減少や、病気・けがの際の保障が不十分になるリスクがあります。また、事業所側にも法的な罰則や追徴金のリスクが生じます。

もし、勤務先が社会保険の適用義務を果たしていないと感じた場合は、以下の対応を検討してください。

医療法人で正社員として働く場合、社会保険への加入は原則として義務付けられています。労働保険のみの加入では、将来的なリスクが高まる可能性があります。自身の雇用形態や勤務先の事業形態を正しく理解し、必要に応じて適切な対応を取ることが重要です。

不明点や不安がある場合は、専門機関への相談を検討し、安心して働ける環境を整えましょう。