学生時代に学生納付特例を利用して国民年金の支払いを猶予していた方の中には、社会人となり将来の年金受給額を見据えて「追納すべきか」悩んでいる方も多いのではないでしょうか。特に現在、公務員として厚生年金に加入している方にとって、過去の国民年金の2年分を追納するメリットはあるのか、今回はこの点を詳しく解説します。
国民年金は20歳以上の全員が加入義務あり
まず基本として、日本では20歳以上60歳未満のすべての人に国民年金への加入義務があります。学生であっても20歳になれば原則的には保険料を支払う必要がありますが、「学生納付特例制度」を利用すれば所得要件を満たす場合、在学期間中の支払いが猶予されます。
この制度を利用していた場合、年金に「加入」していたという実績は残るものの、保険料の支払いがなかった期間は将来の年金受給額には反映されません。つまり、受給資格にはカウントされますが、年金額は増えません。
公務員は厚生年金加入=2階建て年金
現在、公務員として勤務している方は「厚生年金」に加入しており、これは「国民年金(基礎年金)」の上に厚生年金が乗る2階建て構造となっています。厚生年金に加入している間は、自動的に国民年金の分も支払っていることになりますので、現在の国民年金保険料を別に支払う必要はありません。
つまり「今は払っていないけど問題ない」のは、厚生年金に含まれているためです。
追納すると年金額はどう増える?
猶予されていた学生時代の国民年金保険料を追納すると、将来受け取れる老齢基礎年金の金額が増えます。1年間追納すると、年金額が約1,600円〜1,700円程度増える仕組みになっています(令和6年度基準)。
例えば、2年間分の追納をすると。
- 年間:約3,200円〜3,400円増
- 20年間受給した場合:約64,000円〜68,000円の増額
追納には最大10年間の時効があるため、早めの判断が重要です。
追納の費用と注意点
追納の保険料は、当時の金額に一定の加算額(加算金)がついています。例えば、令和3年度の保険料(約16,600円)に、年によって異なる数百円程度の加算が加わるイメージです。
また、追納しなかった場合、その期間の分の年金額は将来の受給額に反映されません。老後資金が不安な場合は、追納しておくと安心材料になります。
将来に向けてどう判断するか?
現在の収入状況と老後の生活設計を踏まえて、追納するかどうかを判断するのがベストです。以下のような視点が役立ちます。
- 老後の基礎年金を少しでも増やしたい
- 長生きリスクに備えて確実な収入を確保したい
- 一括で支払う余裕がある(2年で約33万円ほど)
逆に、「老後資金には他の手段(iDeCoや厚生年金)が十分にある」と考えている場合は、無理して追納する必要はないかもしれません。
まとめ:追納は「任意」だが、メリットは確実にある
学生納付特例による国民年金の未納期間は、将来の年金額に影響を与えます。公務員となり現在は厚生年金に加入しているため追加の支払いは不要ですが、過去の2年分を追納すれば、将来的な受取年金が着実に増えるという点でメリットがあります。
老後資金対策として安心感を得たい方には、追納は一つの有力な選択肢です。公的年金は「長生きするほど得」になる仕組みなので、長期的視点で判断しましょう。
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