退職者の特別徴収税額通知書が届いたときの対応方法|市県民税と事業主の正しい取り扱い

税金

事業主のもとに、すでに退職した従業員の「市県民税 特別徴収税額の通知書」が届くことがあります。特に退職後半年以上経っている場合、「この通知は無効なのでは?」「どう対応すべきか分からない」といった混乱が生じがちです。この記事では、退職者分の特別徴収通知が届いた場合の適切な対応方法と、市区町村への連絡のポイントを詳しく解説します。

特別徴収税額通知書とは?基本の仕組み

市県民税(住民税)は前年の所得に基づいて課税され、通常は給与から天引きされる「特別徴収方式」が主流です。市町村は毎年5月頃に「特別徴収税額通知書」を各事業所へ送付し、6月からの12ヶ月分の住民税を通知します。

しかし、従業員が退職している場合、その情報が市区町村側に正しく反映されていないと、退職者の分まで通知が送られてくることがあります。

退職後の通知書が届いた場合の原因と背景

主な原因は以下の通りです。

  • 退職届出(異動届)の未提出・未処理
  • 提出したが市区町村側で反映が遅れている
  • 退職後に普通徴収へ切替手続きをしていない

たとえば、前年に在職していた元従業員が翌年度に入ってから通知対象になっており、事業所が「退職済み」としての処理をしていない(または市区町村が未確認)のケースです。

通知書が届いたらどう対応すべき?

まずは以下の手順で対応しましょう。

  • 対象者の退職日を確認:源泉徴収票や給与台帳などで退職日を明確にします。
  • 「給与支払報告・特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を提出:退職日や普通徴収への切替希望を記入し、市区町村へ速やかに提出します。
  • 記載された税額を誤って控除・納付しない:退職者への徴収義務はありません。誤納防止のためにも、処理は慎重に。

この手続きにより、該当者の住民税は「普通徴収」に切り替わり、市区町村から本人宛に納付書が送られるようになります。

具体的な例:退職から半年後に通知が届いたケース

たとえば、以下のようなケースを想定しましょう。

従業員Aさんが2023年9月に退職 → 2024年5月、事業所にAさんの特別徴収通知が届く

この場合、2023年1月〜12月分の所得に対する住民税が2024年度に課税されているため、退職時点では未納です。対応としては。

  • 「異動届出書」に2023年9月30日退職と記載
  • 特別徴収を停止し、Aさんへ普通徴収に切替える旨を市へ通知

これにより、Aさん自身が市区町村からの納付書で住民税を支払う形となります。

まとめ:退職者の通知書が届いたら放置せず、正しく手続き対応を

退職者に関する特別徴収税額通知書が届いた場合でも、「退職済み」であることを証明・申告すれば、事業主の義務はなくなります。異動届出書を速やかに提出し、誤って税額を控除・納付しないよう注意が必要です。万が一誤納があった場合は還付手続きなども発生するため、早めの対応と確認を心がけましょう。

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