夫が亡くなった後の妻の年金はいくらになる?遺族年金と老齢年金のしくみをわかりやすく解説

年金

夫婦ともに年金を受給している状態で夫が亡くなった場合、妻の年金はどう変わるのでしょうか。遺族厚生年金や老齢年金の関係が複雑に感じられるかもしれませんが、制度のポイントを押さえることで全体像が見えてきます。この記事では、遺族年金と老齢年金の基本、よくある誤解、計算例まで丁寧に解説します。

老齢年金と遺族年金の基本的な違い

まず押さえておきたいのは、老齢年金と遺族年金は異なる制度であるということです。老齢年金には「老齢基礎年金(国民年金)」と「老齢厚生年金(報酬比例部分)」があり、本人が一定の年齢と加入期間を満たしていれば支給されます。

一方、遺族年金は家計の主たる生計維持者が亡くなったときに、遺された家族に支給される年金です。夫が会社員などで厚生年金に加入していた場合、遺族には「遺族厚生年金」が支給されます。

遺族厚生年金の金額は夫の報酬比例部分の3/4

妻が受け取る遺族厚生年金は、亡くなった夫の「老齢厚生年金の報酬比例部分」の4分の3が基本となります。これに加え、妻が一定の条件(40歳以上の中高齢や子の有無)を満たしていれば「加算」もつきます。

ただし、遺族厚生年金はあくまで夫の年金額の一部に相当するものであり、夫の年金が丸ごと引き継がれるわけではありません。

老齢年金と遺族年金は同時に受け取れるのか

結論から言えば、両方を満額受け取ることはできません。制度上「併給調整」が行われ、遺族厚生年金と老齢厚生年金のいずれか高い方を選ぶ(選択制)か、一部のみが支給される形になります。

具体的には、次のような組み合わせで受け取ることが一般的です。

  • 老齢基礎年金(自分の分)+遺族厚生年金(夫の報酬比例部分の3/4)
  • 老齢基礎年金自分の老齢厚生年金(報酬比例部分) ※遺族厚生年金は不支給

つまり、3パターンの中から最も有利なものを選べるという仕組みではなく、制度で決められた組み合わせにより支給されるというのが正確な理解です。

よくある誤解:「選べる」「組み合わせられる」は正確ではない

質問にもあるような「3つの計算方法から選んで一番多い額になる」といった考え方は一見合理的に思えますが、現行制度ではそのような選択肢は与えられていません。

あくまで年金制度上は、受給資格と併給制限によって、自動的に支給額が決定される仕組みです。市区町村や年金事務所で詳細をシミュレーションしてもらうことができます。

実例:夫婦ともに年金を受給していたケース

70代の夫婦で、夫の年金が月額14万円(基礎6万円+厚生8万円)、妻の年金が月額9万円(基礎6万円+厚生3万円)だった場合。

夫が亡くなった後、妻は老齢基礎年金6万円に加えて、夫の厚生年金部分の4分の3=6万円の遺族厚生年金を受給。妻自身の厚生年金(3万円)は併給調整により支給停止となり、結果として合計月12万円に。

このように、合算ではなく併給ルールに基づいた再計算が行われる点が重要です。

まとめ:年金の併給にはルールがあるので早めの確認が大切

夫が亡くなった後、妻が受け取る年金は「老齢基礎年金」+「遺族厚生年金(夫の報酬比例部分の3/4)」の組み合わせが一般的です。老齢厚生年金と遺族年金の併給には調整ルールがあり、「有利な方を自由に選ぶ」という制度ではありません。

年金の受給額は加入状況や年齢によって変わるため、事前に年金事務所で相談し、将来の生活設計に備えることが安心につながります。

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