年収130万円超のパートが夫の扶養に入り続けるとどうなる?健康保険と年金のリスクとペナルティを解説

国民健康保険

パートで働いている方の中には、年収130万円を超えても「扶養のまま」にしているケースがあります。とくに一部を現金手渡しなどで受け取ることで表面上の収入を抑え、夫の健康保険や年金の扶養範囲にとどまり続けているという例も。ですが、このような行為には重大なリスクやペナルティが伴う可能性があります。この記事では、制度の仕組みと違反時の影響について詳しく解説します。

130万円の壁とは?社会保険の扶養の基準

配偶者が会社員(被用者保険加入者)の場合、パートで働く人の年収が「130万円未満」であれば、健康保険や厚生年金に加入せずに済み、配偶者の扶養に入ることができます。

この「130万円」は、年間収入見込み額で判断され、月額で108,334円を超えると扶養から外れる基準として扱われます(被扶養者認定基準)。

ただし、勤務時間や契約形態によっては106万円や103万円など、税制や社会保険の影響ラインが複数存在するため注意が必要です。

130万円を超えて働いた場合の本来の流れ

収入が130万円を超えた場合、本来は扶養から外れて自身で健康保険と厚生年金に加入しなければなりません。

たとえば、年間200万円の収入があるにもかかわらず、会社が130万円を超えた分を現金で渡すなどして収入を隠すと、扶養を不正に継続していることになります。

この場合、社会保険の事業者(協会けんぽや健康保険組合)は過去にさかのぼって保険料を徴収することがあり、追徴額が数十万円にのぼることも珍しくありません。

不正に扶養に入り続けるとどうなる?

不正に扶養を継続していたと判断された場合、以下のようなペナルティが課されることがあります。

  • 過去に遡って保険料の徴収(最長2年分)
  • 健康保険組合からの給付(医療費等)の返還請求
  • 故意の場合は詐欺罪・公正証書原本不実記載罪などの刑事罰に該当する可能性

たとえば、出産育児一時金や高額療養費などの給付を受けていた場合、それが「不正な被扶養者」と判断されれば、全額返還を求められるリスクがあります。

また、事業者側(勤務先)が給与を意図的に手渡しにして申告を逃れている場合は、「源泉徴収漏れ」や「社会保険未加入」で会社側にも行政指導や罰則が及ぶことになります。

実例:パート主婦が200万円稼ぎ扶養を外され追徴されたケース

Bさんは、スーパーでパート勤務をし、130万円を超えた分を現金で受け取っていました。表面上は年収129万円であったため、夫の会社の健康保険組合では扶養として認定され続けていました。

しかし、税務署の調査や通報によって収入の事実が発覚し、健康保険組合から過去2年分の保険料約45万円の支払いを命じられたうえ、医療費の一部返還も発生しました。

このように「ばれなければ大丈夫」と思っていても、後から発覚した場合の負担は非常に大きくなるのです。

適正な処理で安心して働くために

もし年収が130万円を超える見込みがある場合は、早めに勤務先や社会保険事務所に相談し、自らの社会保険に加入するようにしましょう。社会保険に加入すれば、将来の年金受給額が増えるなどのメリットもあります。

また、パート勤務でも週20時間以上・年収106万円以上・勤務期間1年以上などの条件を満たせば、自動的に社会保険加入が義務づけられる「短時間労働者の社会保険適用拡大」の対象になることがあります。

まとめ:不正な扶養継続は大きなリスクにつながる

年収130万円を超えているにもかかわらず、扶養に入り続ける行為は、社会保険制度に対する不正行為とみなされる可能性があり、金銭的な負担だけでなく、刑事責任に発展する可能性もあります。

目先の保険料を節約するよりも、正しく制度を利用して安心して働ける環境を選ぶことが、将来的にも自分を守る選択になります。少しでも不安がある場合は、勤務先や社会保険の専門窓口に相談してみましょう。

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