育休復帰から転職した場合の標準報酬月額の扱いとは?社会保険料を抑えるための実務ポイント

社会保険

育休明けの復職後に転職を予定している場合、社会保険の「標準報酬月額」がどのように決定されるのか、そしてそれがどの程度社会保険料に影響するのかは、多くの人が気になるポイントです。この記事では、育児休業終了後の報酬月額変更届の意味や、転職時にどのような再計算が行われるかについて詳しく解説します。

標準報酬月額とは?保険料を決める重要な指標

標準報酬月額とは、健康保険や厚生年金保険の保険料を決めるための基準です。毎年4月~6月の給与(基本給+手当など)をもとに算出され、9月に「定時決定」されるのが一般的です。ただし、特定の条件に該当すれば「随時改定」や「育児休業終了時改定」などが行われます。

育休明けで職場復帰した場合は「育児休業終了時報酬月額変更届」を提出することで、通常の定時決定とは別に標準報酬月額を見直すことができます。

育児休業終了時報酬月額変更届とは?

この届出は、育休明けに賃金が著しく変動した場合、社会保険料負担を適正化するための仕組みです。提出することで、復帰後3ヶ月間の実際の報酬を元に標準報酬月額を見直すことができます。

たとえば、5月に育休復帰して時短勤務となった場合、5月~7月の給与をもとに8月に標準報酬月額が決定されます。

ただし、その3ヶ月間すべてで継続して勤務していることが条件です。つまり、転職などで途中の月が欠けていると無効になる可能性があります。

復帰後すぐに転職する場合の影響

7月に転職を予定している場合、育休終了後の勤務が5月と6月の2ヶ月間のみとなります。そのため、「育児休業終了時報酬月額変更届」の提出条件を満たさず、改定が認められない可能性が高くなります。

この場合、旧職場では報酬月額の見直しが行われず、育休前の高い報酬月額に基づいた社会保険料が継続して徴収される可能性があります。新しい職場に入社した7月からは、新たにその職場の報酬に基づいて標準報酬月額が設定されるため、改めて保険料が計算されます。

転職先での標準報酬月額の取り扱い

新しい職場では、入社時点で「資格取得時決定」が行われ、その月の給与をもとに標準報酬月額が設定されます。そのため、育休明けに前職で変更届を出していなくても、新しい職場で保険料が適正に設定され直すことになります。

なお、転職月の給与が不規則(たとえば途中入社や日割り支給など)な場合は、正確な報酬月額と一致しないこともあるため、翌年の定時決定までの保険料に注意が必要です。

実例:育休復帰後すぐ転職したAさんのケース

Aさんは5月に育休から復職し、7月に転職しました。旧職場では復職後2ヶ月のみの勤務だったため、「育児休業終了時報酬月額変更届」は提出しても不受理に。結果として、育休前の報酬に基づいた高額な保険料が6月分まで徴収されました。

7月からの新職場では、月末まで勤務したため、その月の給与をもとに標準報酬月額が決定され、比較的妥当な保険料に落ち着きました。

まとめ:育休復帰から転職する際の標準報酬月額の取り扱い

育休から復帰後すぐに転職する場合、旧職場では「育児休業終了時報酬月額変更届」を提出しても意味がないケースがあります。なぜなら、3ヶ月間継続して勤務する条件を満たさないからです。

しかし、新しい職場では入社時の給与をもとに標準報酬月額が決定されるため、保険料の見直しはそこで自動的に行われます。社会保険料を抑えたい場合は、復帰・転職のタイミングや給与の受け取り状況を考慮し、必要に応じて人事や社会保険労務士に相談しましょう。

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