退職後も継続して傷病手当金を受給している方にとって、保険制度の変更時に何をすべきかはとても重要なテーマです。とくに、任意継続被保険者から国民健康保険へ切り替えた場合、「引き続き申請してもよいのか?」「提出先は変わるのか?」といった疑問が出てくることでしょう。本記事では、制度変更後の対応についてわかりやすく解説します。
傷病手当金は「資格喪失後」でも受給可能
まず知っておきたいのは、傷病手当金は退職後でも条件を満たせば引き続き受け取れるという点です。具体的には、退職日までに連続して3日以上の待機期間を経て、傷病による労務不能が続いている場合、退職日以降も最長で1年6ヶ月間は支給対象となります。
この仕組みを「資格喪失後の継続給付」と呼び、退職後も支給は健康保険組合(前職で加入していた健保)から行われます。つまり、健康保険証が国民健康保険のものになっていても、傷病手当金の申請先は引き続き前職の健保です。
任意継続から国保に変わっても提出先は変わらない
退職後、しばらくは任意継続被保険者として同じ健康保険組合に所属し、その後、国民健康保険に切り替えたとしても、傷病手当金の提出先はあくまで退職時に加入していた健康保険組合です。
たとえば、退職時に「〇〇企業健康保険組合」に加入していた場合、その後に保険制度が変わっても、申請書類は〇〇企業健保に提出すれば問題ありません。
申請書の作成と提出の注意点
申請には、医師の意見書や被保険者記入欄のほか、退職後であっても「事業主記入欄」が必要となる場合があります。実務では、在職時の勤務先がこの欄を引き続き記入してくれるケースも多いため、元の勤務先に相談・確認することが大切です。
もし職場側が書類記入に協力してくれない場合は、代替方法や補足資料を求められる可能性もありますが、保険組合に直接相談することで適切な対応がわかります。
保険制度の変更による支給への影響は?
国民健康保険に切り替わったことで、「新たに国保から傷病手当金が出るのでは?」と思われがちですが、基本的に国民健康保険では傷病手当金の制度は原則存在しません(一部の自治体では例外あり)。
したがって、退職時点での健康保険資格に基づいた継続給付が主な支給元となります。変更後に支給停止される心配は基本的にはありませんが、定期的な申請・審査が必要な点は変わりません。
実際の流れとアドバイス
- 申請書類は前職の健康保険組合へ提出する
- 医師の証明書は継続して毎回必要
- 退職した職場に記入協力を依頼する
- 記入を断られた場合は健保組合に相談
また、万が一に備えて、提出書類のコピーは必ず手元に保管しておきましょう。
まとめ
任意継続から国民健康保険へ切り替えた後でも、傷病手当金は引き続き前職の健康保険組合から受け取ることが可能です。大切なのは、申請書の提出先や記入内容が変わらないことを理解し、適切に手続きすること。困ったときは、健康保険組合または元の勤務先に相談しながら、確実に支給を受けられるよう準備を整えましょう。
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