近年、老後の資産形成や介護への備えとして、保険商品を活用する方が増えています。中でも、太陽生命の「長生きMy介護」は、銀行窓口などで勧められることが多い商品です。しかし、加入を検討する際には、その特徴や注意点をしっかりと理解することが重要です。
「長生きMy介護」の基本的な仕組み
「長生きMy介護」は、一時払いの終身介護年金保険で、契約時にまとまった保険料を支払い、所定の介護状態になった場合に年金が支給される仕組みです。具体的には、要介護2以上に認定されるか、太陽生命が定める要生活介護状態が180日継続したと医師に診断された場合に、介護年金が支給されます。
初回の年金支給額は基本年金額の5倍で、2回目以降は基本年金額が生涯にわたって支給されます。ただし、支払保証期間は20年となっており、20年を超えて生存している場合にのみ、終身で給付が続きます。
メリット:介護リスクへの備えと資産の運用
この保険の主なメリットは、介護状態になった際に年金が支給されることで、介護費用の一部をカバーできる点です。また、契約時に設定された予定利率で運用されるため、長期的な資産形成としても活用できます。例えば、60歳で一時払保険料1,000万円を支払った場合、20年後には解約返戻金が1,163万円(116.3%)になる試算もあります。
さらに、死亡給付金も設定されており、介護年金が支給される前に死亡した場合や、支払保証期間中に死亡した場合には、一定の金額が遺族に支払われます。
デメリット:元本割れのリスクと流動性の低さ
一方で、いくつかのデメリットも存在します。まず、契約後短期間で解約すると、解約返戻金が一時払保険料を下回る、いわゆる元本割れのリスクがあります。これは、保険会社が必要な費用を差し引いた金額が返金されるためで、特に契約直後は運用益が出ていない状態から費用が差し引かれるためです。
また、一時払いでまとまった資金を預ける必要があるため、流動性が低くなります。急な資金需要が発生した場合に対応しづらい点も考慮する必要があります。
介護期間と受取額のバランス
介護年金は、生涯にわたって支給されるとはいえ、実際に要介護2以上の状態が20年以上続くケースは稀です。公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、介護期間の平均は5年1ヶ月となっており、20年以上の介護状態が続くことは現実的とは言い難いでしょう。そのため、受け取れる保険金額を最大の保証期間で見積もっていると、期待外れになる可能性があります。
他の資産運用手段との比較
「長生きMy介護」は、介護リスクへの備えとしては一定の効果がありますが、資産運用の観点から見ると、リターンは限定的です。例えば、個人向け国債や定期預金と比較しても、運用益は大きくありません。また、投資信託や株式投資など、リスクを取ることでより高いリターンを狙える商品も存在します。
そのため、資産運用を主目的とする場合は、他の金融商品も検討することが望ましいでしょう。
まとめ:加入前に慎重な検討を
太陽生命の「長生きMy介護」は、介護リスクへの備えとして一定のメリットがありますが、元本割れのリスクや流動性の低さなど、デメリットも存在します。特に、資産運用を主目的とする場合は、他の金融商品との比較検討が必要です。加入を検討する際は、自身のライフプランや資金計画を踏まえ、慎重に判断することをおすすめします。
コメント