社会保険と厚生年金は本当に労使折半?給与明細を見ても納得できない理由と確認方法

社会保険

給与明細に記載された社会保険料や厚生年金保険料を見て、「あれ?こんなに引かれるの?」と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。とくに「労使折半(会社と本人で半分ずつ負担)」と説明されていても、実際の金額を見ると納得できないこともあります。この記事では、社会保険料の仕組みや実際の負担割合、確認方法をわかりやすく解説します。

社会保険と厚生年金の「労使折半」とは

「労使折半」とは、健康保険料と厚生年金保険料を労働者と雇用主(会社)が同額ずつ負担する制度です。つまり、合計の保険料の半額があなたの給与から差し引かれ、もう半額は会社が負担して国に納付しています。

そのため、給与明細に記載されている金額は「あなたが負担している分」のみであり、実際には同額が会社からも支払われているのです。

実際の保険料はどれくらい?2024年度の例

たとえば、東京都で協会けんぽに加入している場合、2024年度の保険料率は次のとおりです。

  • 健康保険料率:9.84%(労使折半で4.92%ずつ)
  • 厚生年金保険料率:18.3%(労使折半で9.15%ずつ)

仮に月収193,333円の場合、健康保険料の本人負担額は約9,512円、厚生年金は約17,693円となります(端数や調整を含めると変動あり)。これに対して、実際の明細では健康保険が13,442円、厚生年金が23,790円と記載されている場合、標準報酬月額の等級設定により保険料が上振れしている可能性があります。

標準報酬月額と実際の給与の違い

社会保険料は「実際の給与」ではなく、標準報酬月額という仕組みに基づいて計算されます。これは、前年4〜6月の平均給与をもとに保険料額を等級ごとに定めたもので、実際の月給とピッタリ一致するわけではありません。

たとえば、月収193,333円は「等級20(200,000円)」に該当し、それに応じた保険料が適用されます。そのため、実際に手取りより多く感じる場合があるのです。

給与明細で「折半」を確認する方法

労使折半の正当性を確認するには、以下の方法があります。

  • 健康保険組合または協会けんぽの保険料表をチェックする
  • 標準報酬月額を会社の人事・労務に確認する
  • 会社が労使折半の会社負担分を納付している証拠として、源泉徴収票や年末調整書類に記載された保険料控除額を確認する

また、疑問がある場合は人事部門に「標準報酬月額が何等級か」「協会けんぽか組合健保か」を聞いてみましょう。

実例:労使折半がわかりにくいケース

ある社員Bさんは月収193,333円で、健康保険13,442円、厚生年金23,790円が引かれていました。給与と比較して多いと感じたため人事に確認したところ、標準報酬月額が20等級(20万円)で設定されていたため、それに基づく保険料であると説明を受けました。

さらに、会社も同額を負担していることを知り、実際には総額が約47,000円で、半額の約23,000円を自分が負担していることに納得したとのことです。

まとめ:納得いかないときこそ仕組みの理解を

社会保険料や厚生年金保険料は複雑に見えますが、「標準報酬月額」と「労使折半」の仕組みを理解すれば、その計算の根拠が明確になります。給与明細で疑問を持ったときは、自分の報酬月額と保険料率を照らし合わせてみましょう。疑問を持つことは大切であり、制度を正しく理解することが安心と納得につながります。

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