退職金とiDeCoの一時金受取時の退職所得控除の計算方法と注意点

税金

退職金やiDeCo(個人型確定拠出年金)を一時金として受け取る際、税制上の優遇措置である退職所得控除を適用できます。しかし、複数の退職所得がある場合や受取時期によって、控除額の計算が複雑になることがあります。本記事では、退職所得控除の計算方法と注意点について解説します。

退職所得控除の基本的な計算方法

退職所得控除額は、勤続年数に応じて以下のように計算されます。

  • 勤続年数が20年以下:40万円 × 勤続年数(80万円未満の場合は80万円)
  • 勤続年数が20年を超える:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 – 20年)

例えば、勤続年数が35年の場合、退職所得控除額は800万円 + 70万円 ×(35 – 20)=1,850万円となります。

iDeCoの一時金受取時の退職所得控除の適用

iDeCoを一時金で受け取る場合も、退職所得控除が適用されます。iDeCoの加入年数を勤続年数とみなして計算します。ただし、同一年中または一定期間内に他の退職所得(例:会社からの退職金)を受け取っている場合、控除額の調整が必要です。

例えば、35歳から60歳までiDeCoに加入し、60歳で一時金として1,000万円を受け取る場合、加入年数は25年となります。退職所得控除額は800万円 + 70万円 ×(25 – 20)=1,150万円です。

複数の退職所得がある場合の控除額の調整

同一年中または一定期間内に複数の退職所得を受け取る場合、控除額の重複適用を避けるため、控除額の調整が行われます。具体的には、先に受け取った退職所得で使用した控除額を差し引いた残額が、後に受け取る退職所得に適用されます。

例えば、55歳で退職金1,500万円を受け取り、退職所得控除額が1,850万円の場合、控除額の残りは350万円です。その後、60歳でiDeCoを一時金として1,000万円受け取る場合、iDeCoの加入年数25年に基づく控除額1,150万円から、既に使用した1,500万円分の控除額を差し引く必要があります。

退職所得の課税対象額の計算

退職所得の課税対象額は、以下の式で計算されます。

(退職金等の収入金額 – 退職所得控除額)× 1/2

例えば、退職金1,500万円を受け取り、退職所得控除額が1,850万円の場合、課税対象額は0円となり、所得税は発生しません。

まとめ

退職金やiDeCoの一時金受取時には、退職所得控除を適用することで税負担を軽減できます。ただし、複数の退職所得を受け取る場合や受取時期によって、控除額の調整が必要となるため、事前に計画を立てることが重要です。具体的な計算や手続きについては、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

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