扶養や社会保険の制度に左右されて、自分に合った働き方を見つけにくいと感じている方は少なくありません。特に、体調や家庭の事情でフルタイム勤務が難しい人にとって、「106万円の壁」や社会保険の加入基準は非常に重要な問題です。この記事では、今後の制度変更や働き方の選択肢、将来の年金まで見据えて、どう働くのが現実的かを分かりやすく解説します。
「106万円の壁」って何だったのか?
これまで「106万円の壁」とは、年収106万円を超えると社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する必要があるという制度上の基準でした。
具体的には以下の条件をすべて満たすと加入義務が発生していました。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円(年収106万円)以上
- 勤務先の従業員数が101人以上
- 2ヶ月を超えて雇用される見込み
- 学生でない
この制度はもともと「パートタイム労働者の社会保険格差是正」を目的としたものでしたが、逆に働き控えを生んでしまう問題も指摘されていました。
制度の見直しで何が変わるの?
現在検討されている106万円の壁撤廃により、社会保険加入の対象がさらに拡大する可能性があります。つまり、「年収106万円以下に抑えていれば社会保険に入らずに済む」という働き方が今後は難しくなるかもしれません。
制度変更の方向性としては「週20時間以上働く人=社会保険対象」となる流れが強まっており、掛け持ちで20時間を超えていても加入対象になる可能性が出てきます。
社会保険に入るメリットとデメリット
メリット:
- 将来受け取る年金額が国民年金より多くなる
- 健康保険で傷病手当金や出産手当金が受け取れる
- 保険料の半分を会社が負担してくれる
デメリット:
- 手取り額が減る(保険料の自己負担分が引かれる)
- 短期的には生活が苦しくなる可能性も
たとえば月収88,000円で社会保険に加入した場合、保険料の自己負担が約13,000円前後引かれ、手取りは約75,000円になります。
バイト掛け持ちで社会保険を避けるのは得か?
週2×2箇所で働き、1社あたり週20時間未満にすることで社会保険加入を回避する働き方もあります。ただし、次のような注意点もあります。
- 年金は「国民年金」のみとなり将来受取額は少ない
- 自分で国民年金保険料(月約16,000円)を納付する必要がある
- 健康保険も自分で国保に加入し保険料を支払うことになる
つまり「社会保険を避けて手取りを増やす」は短期的には良くても、保険料や将来の年金を考えると不利になることもあります。
親の扶養と年金の関係
未婚で実家暮らしの場合、「親の扶養に入れば年金や保険の負担が減る」と考える方も多いですが、これは誤解が多いポイントです。
親が会社員でも、子ども(あなた)が20歳以上で収入が一定以上ある場合は国民年金の加入義務が発生します。親の会社が負担してくれるわけではなく、扶養に入っても国民年金の保険料は自己負担です。
おすすめの働き方は「1社・週20時間以上で社会保険加入」
体調の問題がある方や安定を求める方にとっては、無理な掛け持ちよりも、1つの職場で20時間以上働いて社会保険に加入する働き方がおすすめです。
将来の年金受給や健康保険の手厚さ、会社が保険料の半額を負担してくれる点を考えれば、長い目で見て経済的にも精神的にも安定しやすい選択です。
実際に「掛け持ちで体を壊してしまった」「再度職場探しが必要になって大変だった」という声も少なくありません。
まとめ|変化の中でも「自分に合った働き方」を見つけるために
106万円の壁が撤廃されることで、これまでの「働き控え」には終止符が打たれるかもしれません。今後は社会保険に加入する働き方が主流になる中で、自分の体調・生活リズム・将来設計に合わせた働き方を見直すことが大切です。
週4・20時間以上で社会保険に加入して1社で働くスタイルは、安心して働き続けたい方にとって非常に現実的な選択肢です。将来に向けた安定を見据えて、制度の変化に振り回されず、自分に合った働き方を考えていきましょう。
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