親子で共同名義のマンションを所有している場合、将来的な相続や管理の簡素化を目的に、名義を一方にまとめたいと考えることがあります。特に、母親が娘に持分を移す場合、贈与と持分放棄のどちらが税金面で有利なのかを検討することが重要です。
贈与による名義変更と課税の仕組み
贈与とは、無償で財産を他人に譲渡する行為です。母親が娘にマンションの持分を贈与する場合、贈与税の対象となります。贈与税は、年間110万円を超える贈与に対して課税され、税率は贈与額に応じて10%から55%までの累進課税となっています。
例えば、マンションの評価額が2,000万円で、母親の持分が50%(1,000万円)の場合、基礎控除110万円を差し引いた890万円に対して贈与税が課されます。この場合、税額は約177万円となります。
持分放棄による名義変更と税務上の取り扱い
持分放棄とは、共有者が自らの持分を放棄する行為です。しかし、持分放棄が他の共有者の利益となる場合、税務上は贈与とみなされ、贈与税の対象となる可能性があります。
例えば、母親が持分を放棄し、娘がその持分を取得した場合、娘が無償で財産を得たと判断され、贈与税が課されることがあります。したがって、持分放棄によっても税金を回避することは難しいと考えられます。
税金を抑えるための対策と注意点
税金を抑えるためには、以下のような対策が考えられます。
- 相続時精算課税制度の利用:60歳以上の親から20歳以上の子への贈与に適用され、2,500万円までの贈与が非課税となります。ただし、将来の相続時に贈与分が相続財産に加算されます。
- 夫婦間贈与の特例:婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産を贈与する場合、2,000万円までの贈与が非課税となります。
- 持分の売買:母親の持分を娘が適正な価格で購入することで、贈与税ではなく譲渡所得税の対象となります。譲渡所得税は、譲渡益に対して課税されます。
これらの対策を検討する際は、税務署や税理士に相談し、適切な手続きを行うことが重要です。
まとめ
マンションの共有持分を単独名義に変更する際、贈与と持分放棄のいずれも贈与税の対象となる可能性があります。税金を抑えるためには、相続時精算課税制度や持分の売買などの対策を検討し、専門家と相談しながら進めることが望ましいです。適切な手続きを行うことで、将来的なトラブルを回避し、円滑な名義変更が可能となります。
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