交通事故や暴行など、第三者から傷害を受けた場合でも、国民健康保険(国保)を利用して医療を受けることができます。その際、通常と異なる手続きとして「第三者行為による傷病届」の提出が必要になります。本記事では、加害者の現住所が不明な場合の自治体の対応について詳しく解説します。
第三者行為による傷病届とは?
第三者の行為によって負傷した場合、本来は加害者が医療費を全額負担すべきです。しかし、被害者が治療を受ける際に医療保険が利用されると、自治体は一時的にその費用を立て替えることになります。
その後、自治体が加害者へ「求償請求(費用の回収)」を行うために必要な情報をまとめたものが「第三者行為による傷病届」です。
届出に必要な情報と加害者の住所
届出には以下の情報が求められます。
- 加害者の氏名
- 連絡先または住所
- 事故の発生日時や場所、状況
- 警察への届出状況
しかし、現住所が不明な場合、過去に判明している旧住所などを届け出ることで、自治体は可能な範囲で加害者に接触を試みます。
加害者の現住所が不明な場合の自治体の対応
自治体が行う手続きには以下のような方法があります。
- 旧住所への郵送通知:まずは判明している旧住所に文書を送付し、転送措置などで連絡を試みます。
- 住民基本台帳ネットワークの活用:地方自治体では、法的に正当な理由があれば住基ネットを使って住所調査を行うことがあります。
- 警察や弁護士会との連携:事件性が高い場合や法的措置を取る際には、警察や弁護士を通じて加害者の所在を調査するケースもあります。
ただし、個人情報保護の観点から、これらの調査には限界があるため、すべてのケースで加害者へ請求が届くとは限りません。
被害者として注意すべき点
加害者の情報が完全でない場合でも、できる限り多くの情報(氏名、旧住所、勤務先、連絡履歴など)を集め、自治体に提出しましょう。また、警察への被害届を提出しておくことで、後々の法的手続きに役立つことがあります。
また、加入している保険(自動車保険や傷害保険など)で被害者側の補償制度がないかも確認することをおすすめします。
まとめ
第三者から傷害を受けた際、国保を使うには「第三者行為による傷病届」の提出が必要ですが、加害者の住所が不明でも手続きは可能です。自治体は旧住所などの情報をもとにできる限りの調査を行います。被害者としては、事故の記録や加害者の情報を可能な限り詳細に残し、自治体や警察と連携して適切な対応を進めることが重要です。
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