派遣社員として働き始め、両親を扶養に入れる手続きを求められた場合、扶養に入れることで得られるメリットとデメリットを理解した上で判断することが重要です。特に、両親が障害者であり、すでに税制優遇や公的支援を受けている場合、扶養に入れることで思わぬ影響が出ることがあります。本記事では、扶養に入れるべきかどうかを判断するポイントと手続きについて詳しく解説します。
扶養に入れることで得られるメリット
親を扶養に入れることで、税金や社会保険において以下のようなメリットがあります。
1. 所得税・住民税の控除を受けられる
扶養親族として認定されると、所得税や住民税の軽減が期待できます。
- 一般の扶養控除: 年間38万円の所得控除
- 特定扶養親族(70歳以上): 年間48万円の所得控除
- 障害者控除(特別障害者): 年間40万円の追加控除
例えば、両親ともに特別障害者に該当する場合、1人あたり88万円(48万円+40万円)の控除が受けられる可能性があります。
2. 社会保険の扶養に入れれば保険料負担がなくなる
健康保険の扶養に入れれば、親の健康保険料の負担がなくなり、保険料を支払う必要がなくなるため、経済的なメリットがあります。
健康保険の扶養条件:
- 収入が130万円未満(年金やその他収入の合計)
- 同居している(別居の場合は仕送りが必要)
扶養に入れることでのデメリット
一方で、親を扶養に入れることで影響が出る可能性のある点についても確認しておきましょう。
1. 介護保険料が増加する可能性
親が扶養に入ることで、国民健康保険から勤務先の健康保険に移行すると、介護保険の負担額が変わる場合があります。
- 国民健康保険では所得に応じた負担だが、会社の健康保険に入ると定額負担になることが多い
- これにより介護保険料が増額する可能性がある
特に、親がデイサービスやヘルパーを頻繁に利用している場合、介護保険の負担額が変わることを確認しておく必要があります。
2. 診療費の負担が増える可能性
親が国民健康保険の低所得者向け減免を受けている場合、健康保険の扶養に入ることで負担が増えることがあります。
- 国民健康保険では所得が低い場合、医療費の自己負担割合が減免されることがある
- 会社の健康保険に入ると、自己負担が3割になる可能性がある
これにより、通院や入院の医療費が増加する可能性があるため、現状と比較することが大切です。
扶養に入れる手続きの流れ
両親を扶養に入れる場合、以下の手続きが必要になります。
1. 扶養控除の申請(税務上の扶養)
派遣会社に「扶養控除等申告書」を提出し、親の収入を記載して申請します。
- 必要書類:親の収入証明(年金額証明書など)
- 申請先:派遣会社の給与担当者
2. 健康保険の扶養申請
健康保険の扶養に入れる場合、勤務先の健康保険組合へ申請します。
- 必要書類:戸籍謄本、収入証明書(年金額証明書)、住民票
- 申請先:派遣会社の社会保険担当者
3. 介護保険の影響を確認
市区町村の窓口で、扶養に入れた場合の介護保険料の変更について確認しておくとよいでしょう。
扶養に入れるべきかどうかの判断基準
両親を扶養に入れるかどうかは、以下のポイントを基準に判断するとよいでしょう。
扶養に入れたほうがよい場合
- 親の健康保険料の負担を軽減したい
- 所得税の控除を最大限活用したい
- 親の医療費の負担が扶養に入れることで増えない
扶養に入れないほうがよい場合
- 親の介護保険料が増える可能性がある
- 親が国民健康保険の減免措置を受けている
- 医療費の自己負担額が扶養に入れることで上がる可能性がある
まとめ
親を扶養に入れることには税金・健康保険料のメリットがある一方で、医療費・介護保険料の負担が増えるリスクもあります。
- 税制上の扶養控除は大きな節税効果がある
- 健康保険の扶養に入れると保険料負担がなくなる
- ただし、介護保険料や医療費の自己負担が増える可能性がある
- 現状の医療費負担や介護サービス利用状況を考慮して判断
最終的には、現在の支出状況を整理し、扶養に入れた場合と入れなかった場合のシミュレーションを行うことが重要です。不明点があれば、派遣会社の担当者や税理士、健康保険組合、市区町村の福祉課に相談してみるのもよいでしょう。
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