社会保険(健康保険・厚生年金)への加入条件について、「週20時間以上」との情報がよく見られますが、では「週20時間未満で月80時間以上勤務した場合」はどうなるのでしょうか?本記事では、社会保険の加入基準について詳しく解説します。
社会保険の加入条件とは?
社会保険(健康保険・厚生年金)に加入するには、以下の条件を満たす必要があります。
1. 正社員(フルタイム)の場合
以下の条件に該当する場合、雇用形態に関係なく社会保険に加入義務があります。
- 労働時間が週30時間以上(1日8時間 × 5日など)
- 1ヶ月の労働日数が正社員の4分の3以上
この条件を満たすと自動的に社会保険の適用対象になります。
2. 短時間労働者(パート・アルバイト)の場合
短時間労働者(パート・アルバイト)の場合、企業の規模によって加入条件が異なります。
① 従業員101人以上の企業(特定適用事業所)
以下の条件をすべて満たすと社会保険の加入対象になります。
- 週の労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)
- 雇用期間が2ヶ月以上見込まれる
- 学生ではない
この「週20時間以上」の条件がポイントとなります。
② 従業員100人以下の企業
従業員100人以下の企業では、原則として週30時間以上働かなければ社会保険の加入対象にはなりません。
週20時間未満で月80時間以上働いた場合の扱い
質問のケースでは、「週20時間未満だが、月80時間以上勤務している」ため、どのように扱われるのかを確認します。
1. 「週20時間未満」のため、短時間労働者の適用条件には当てはまらない
週20時間以上の基準は、「月80時間以上」という基準に分割されるものではありません。
- 例えば、「週19時間 × 4週間 = 月76時間」となった場合、週の基準を満たしていないため、社会保険の適用外になります。
2. ただし「週20時間以上になる週」が発生すると適用対象になる可能性あり
例えば、週ごとの労働時間にムラがあり、ある週だけ20時間以上働く週がある場合、その週から適用対象になる可能性があります。
3. 企業によっては独自の基準を適用することも
一部の企業では、社会保険の加入基準を厳しく運用していることがあり、月の労働時間が80時間以上で加入させるケースもあります。実際の運用は会社ごとに異なるため、勤務先の労務担当に確認するのが確実です。
社会保険未加入のリスク
社会保険に加入しない場合、以下のリスクがあります。
1. 病気やケガの際に高額な医療費が発生する
社会保険に加入していれば、医療費の3割負担で済みますが、未加入の場合は全額自己負担になります。
2. 老後の年金が減る
厚生年金に加入しないと、将来もらえる年金額が大幅に減ります。国民年金のみの場合、受給額が低くなり、老後の生活に影響します。
3. 失業保険(雇用保険)が受け取れない
雇用保険に未加入の場合、仕事を辞めた際に失業給付(失業手当)を受け取れないため、収入が途絶えるリスクがあります。
社会保険の加入を検討するポイント
社会保険の適用を受けるかどうかは、長期的な視点で考えることが重要です。
1. 収入と働き方を考慮する
「週20時間未満で月80時間以上」のように微妙なラインにいる場合、週20時間以上の労働に切り替え、社会保険に加入するのも一つの選択肢です。
2. 会社と相談してみる
企業によっては、社内ルールとして月80時間以上勤務で社会保険に加入させるケースもあります。疑問があれば、労務担当者に相談するのが良いでしょう。
3. 社会保険に加入するメリットを理解する
手取りが減ることを懸念して社会保険未加入を選ぶ人もいますが、医療費の軽減、年金の増額、失業手当の受給など、長期的なメリットが大きいため、加入を前向きに検討することをおすすめします。
まとめ
「週20時間未満で月80時間以上勤務した場合」の社会保険の扱いについて、ポイントを整理します。
- 週20時間未満では、短時間労働者の社会保険加入条件に該当しない
- ただし、企業の運用次第では月80時間以上で加入させるケースもある
- 社会保険未加入だと、医療費や年金、失業時の補償で不利益を受ける
- 長期的に安定した働き方を考えるなら、社会保険の加入を検討すべき
最終的には、会社の労務担当に確認し、自分の働き方に合った選択をすることが大切です。
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