生命保険の終身年金は、税制上「雑所得」として扱われるため、所得に応じた税金が発生します。本記事では、年収750万円の方が終身年金を月額10万円(年間120万円)受け取る場合に、どのような税負担が発生するのかを詳しく解説します。
1. 終身年金の税制上の扱い
終身年金は、公的年金とは異なり「雑所得」として課税対象になります。雑所得として計算されるため、以下の計算式が適用されます。
雑所得(年金部分)= 年間受取額 - 年金控除額
この雑所得に対して所得税と住民税がかかります。
2. 終身年金にかかる税金の計算方法
生命保険会社の年金は、「公的年金等以外の雑所得」に該当し、以下の計算式で所得税が求められます。
① 年金控除の適用
60歳以降に受け取る終身年金には、以下の「公的年金等控除」は適用されません。そのため、全額が課税対象になります。
② 所得税の計算
- 終身年金の年間受取額:120万円
- 他の所得(給与):750万円
- 合計所得:870万円
所得税は累進課税のため、以下の税率が適用されます。
課税所得(万円) | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円~330万円 | 10% | 97,500円 |
330万円~695万円 | 20% | 427,500円 |
695万円~900万円 | 23% | 636,000円 |
900万円~1800万円 | 33% | 1,536,000円 |
合計所得が870万円のため、695万円を超える部分(約175万円)には23%の税率が適用されます。
所得税額=(870万円 × 23%)− 636,000円 ≒ 1,374,000円
③ 住民税の計算
住民税は一律10%が課税されるため、以下の計算になります。
住民税額= 870万円 × 10% = 87万円
3. 終身年金の税負担を軽減する方法
① NISAやiDeCoを活用
終身年金の受取額が課税対象となるため、税負担を軽減するためにNISAやiDeCoを活用し、非課税枠での運用を増やすのも有効です。
② 受取方法を変更
一時金での受け取りを検討し、退職所得控除を適用することで、税金を抑える方法もあります。
4. まとめ
- 終身年金は「雑所得」として扱われ、所得税と住民税の対象になる
- 所得が増えるほど累進課税により税率が上昇する
- 税負担を軽減するには、受取方法の変更や非課税制度の活用が有効
年金の受け取り方次第で手取り額が大きく変わるため、計画的に対策を考えることが重要です。
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