高齢者世帯の年金収入に対する税負担は、医療費や介護費用の増加とともに大きな負担となることがあります。本記事では、年金受給者の課税基準や非課税措置について、適用可能な控除制度とともに詳しく解説します。
年金受給者の課税基準とは?
年金収入には一定の非課税枠が設けられていますが、基準を超えると住民税や所得税の課税対象となります。
1. 公的年金控除
公的年金には公的年金等控除が適用され、収入額に応じた控除が行われます。令和5年度の基準は以下の通りです。
年金収入 | 公的年金控除額 |
---|---|
65歳以上で年金収入110万円以下 | 全額控除(課税なし) |
110万円超~330万円 | 収入の25%+45万円 |
330万円超~410万円 | 収入の15%+85万円 |
夫婦二人の年金収入が合計21万円(月額)の場合、年間252万円となり、公的年金控除を適用すると課税所得が発生する可能性があります。
2. 住民税の非課税基準
住民税の非課税基準は以下の通りです。
- 単身世帯:年収105万円以下
- 夫婦(2人世帯):年収155万円以下
- 扶養家族がいる場合:所得が45万円+扶養控除額以下
よって、夫婦二人で252万円の年金収入がある場合、住民税が課税される可能性があります。
医療費控除を活用する
医療費が高額になった場合、医療費控除を申請することで課税所得を減らすことができます。
1. 医療費控除の計算方法
医療費控除は、年間の医療費が10万円(または総所得の5%)を超えた場合に適用されます。
- (年間の医療費 – 10万円)× 所得税率分が控除
例えば、年間医療費が30万円かかった場合、控除対象額は20万円となり、住民税や所得税の負担が軽減されます。
2. 介護費用も控除対象
介護施設の利用料や介護保険サービスの自己負担分も控除の対象になる場合があります。
- サービス付き高齢者住宅の利用料
- デイサービス・訪問介護の費用
- 要介護認定を受けている場合の特別控除
障害者控除の適用について
要介護認定を受けている高齢者は、障害者控除を受けられる可能性があります。
1. 障害者控除の基準
- 要介護2以上で、寝たきり・認知症などがある場合
- 市町村で「障害者認定」を受ける
- 控除額は26万円(特別障害者の場合は40万円)
要介護2以上で認定を受けている場合、住民税・所得税の負担が大幅に軽減される可能性があります。
まとめ
年金受給者が非課税となるためには、以下のポイントを確認しましょう。
- 年金収入の公的年金控除を適用し、課税基準を確認する
- 医療費控除を申請し、税負担を軽減する
- 介護費用を控除の対象とする
- 障害者控除の適用を受けられるか確認する
適切な控除を活用し、税負担を軽減する方法を検討してみましょう。
コメント