会社の健康保険から国民健康保険へ切り替えたとき、「国保の保険料は毎月払うのか、それとも年に数回まとめて払うのか」が分かりにくいことがあります。
国民健康保険では、1年度分の保険料を計算したうえで、それを自治体が定めた複数回の納期に分けて納める「普通徴収」が一般的です。そのため、会社員時代の健康保険料のように「毎月の給与から12回必ず引かれる」という仕組みとは異なります。
国民健康保険料の納付回数は全国一律ではありません。たとえば横浜市・大阪市・札幌市などは、通常、1年度分を6月から翌年3月までの年10回に分けて納めます。一方で年8回などの自治体もあります。
したがって正確な支払回数を知るには、住んでいる市区町村から届く「国民健康保険料決定通知書」「納入通知書」「納税通知書」などで確認するのが確実です。
- 国民健康保険料は「毎月12回」とは限らない
- 年10回払いの自治体では6月から翌年3月まで払うことが多い
- 「年10回払い」でも保険料は10か月分だけではない
- 自治体によって年8回などの場合もある
- 口座振替でも基本的な納期は同じ
- 65歳以上では年金から年6回天引きされる場合がある
- 年度途中で国保に入った場合は加入月から計算される
- 加入手続きが遅れると数か月分をまとめて請求されることがある
- 年度途中で会社の社会保険に入った場合は国保も再計算される
- 国保の保険料はいくらになる?
- 今年収入が少なくても前年所得で高くなることがある
- 納付書が10枚届いても「10年分」ではない
- 「国民健康保険料」と「国民健康保険税」は基本的な役割は同じ
- 支払いを忘れた場合は放置しない
- 自分が年何回払いか確認する一番簡単な方法
- まとめ|国保は年間保険料を複数回に分けて払うのが一般的
国民健康保険料は「毎月12回」とは限らない
国民健康保険の保険料・保険税について、厚生労働省は具体的な算定方法や徴収期限・方法を各市町村の条例などで定めると案内しています。つまり、全国共通で「毎月1回、年12回」と決められているわけではありません。[厚生労働省参照]
多くの自治体では、4月から翌年3月までを1年度として年間保険料を計算し、その年間保険料を何回かに分けて納付します。この分割された1回分を「第1期」「第2期」などと表現することがあります。
そのため、「今月分の国保を今月払っている」と考えるより、「年間保険料を自治体が定めた納期に分割して払っている」と理解したほうが正確です。
年10回払いの自治体では6月から翌年3月まで払うことが多い
具体例として横浜市では、4月から翌年3月までの年間保険料について、6月から翌年3月まで毎月、年10回に分けて納める仕組みになっています。[横浜市参照]
大阪市も、年間の国民健康保険料を6月から翌年3月までの10回に分けて支払う方式です。普通徴収の場合、原則として各月末が納期限となっています。[大阪市参照]
札幌市でも、原則として1年分を6月から翌年3月までの10回に分けて納めます。[札幌市参照]
| 自治体の例 | 普通徴収の一般的な回数 | 主な納付時期 |
|---|---|---|
| 横浜市 | 年10回 | 6月~翌年3月 |
| 大阪市 | 年10回 | 6月~翌年3月 |
| 札幌市 | 年10回 | 6月~翌年3月 |
ただし、この10回方式が全国共通というわけではありません。自治体によっては年8回など別の納期を設定しています。
「年10回払い」でも保険料は10か月分だけではない
ここは国保で特に混乱しやすいポイントです。例えば6月から翌年3月まで年10回払う自治体でも、4月と5月の保険料が無料になるわけではありません。
4月1日から国民健康保険に加入している人であれば、基本的には4月から翌年3月までの12か月分を対象として年間保険料が計算され、それを6月以降の10回に分けて払います。
例えば年間保険料が24万円で、単純に10回均等に分けられると仮定すれば、1回あたり2万4,000円です。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 保険料の対象期間 | 4月~翌年3月 |
| 年間保険料 | 24万円 |
| 納付回数 | 10回 |
| 1回あたり | 約2万4,000円 |
「6月に払う2万4,000円=6月1か月分」という意味ではありません。年間保険料を10回に分割した第1期分という位置付けです。
自治体によって年8回などの場合もある
国民健康保険料・国民健康保険税の納期は自治体によって異なるため、「国保は年10回」と覚えてしまうのも正確ではありません。
例えば自治体によっては普通徴収を年8回に設定しているケースがあります。納付回数が少なければ、同じ年間保険料でも1回あたりの支払額は大きくなります。
年間保険料24万円を10回で払うなら単純計算で1回2万4,000円ですが、8回で払うなら1回3万円です。支払回数が違うだけなら年間の保険料総額が増えるわけではありません。
自分の自治体が何回払いなのかは、納付書に「第1期」「第2期」などと記載されているため、届いた書類を見ると確認できます。
口座振替でも基本的な納期は同じ
国民健康保険料を納付書ではなく口座振替にした場合も、基本的には自治体が設定した各納期に合わせて口座から引き落とされます。
例えば大阪市では普通徴収が6月から翌年3月まで年10回で、口座振替は原則として各納期限日に行われます。[大阪市参照]
納付書払いでは支払い忘れが起こる可能性がありますが、口座振替なら残高があれば自動的に引き落とされるため、毎回納付手続きをする必要がありません。
ただし残高不足で引き落とせなかった場合の再振替などの扱いは自治体によって異なります。口座振替を利用していても、引落日前には残高を確認しておくと安心です。
65歳以上では年金から年6回天引きされる場合がある
一定の条件を満たす65歳以上75歳未満の世帯では、納付書や口座振替ではなく、公的年金から国民健康保険料・国民健康保険税が差し引かれる「特別徴収」になることがあります。
特別徴収の場合、一般的には年金の支給月に合わせて4月・6月・8月・10月・12月・翌年2月の年6回で徴収されます。
例えばさいたま市では、対象者について4月・6月・8月を仮徴収、10月・12月・翌年2月を本徴収として年6回、年金から国民健康保険税を差し引いています。[さいたま市参照]
豊島区でも、普通徴収は6月から翌年3月までの年10回なのに対して、年金からの特別徴収は偶数月の年6回と案内しています。[豊島区参照]
年度途中で国保に入った場合は加入月から計算される
会社を退職して年度途中から国民健康保険へ加入する場合は、必ずしも1年度分すべてを払うわけではありません。
例えば会社の健康保険を喪失し、8月から国民健康保険の資格を取得したのであれば、一般的には8月以降の加入期間に応じて国民健康保険料が月割りで計算されます。
大阪市も、年度途中に新たに国民健康保険の資格を取得した場合、資格取得日の属する月から保険料を計算し、通知書発行月以降に支払うと案内しています。[大阪市参照]
ここでも「8月加入だから8月末から毎月1か月分ずつ」という形になるとは限りません。年間の残り期間に対応する保険料を計算したうえで、残っている納期に分けて請求されることがあります。
加入手続きが遅れると数か月分をまとめて請求されることがある
会社の健康保険を退職によって喪失したにもかかわらず、国保の加入手続きが遅れた場合には注意が必要です。
国民健康保険料は、原則として届出をした日からではなく、本来国保の資格を取得した時点までさかのぼって計算されます。そのため手続きが遅れるほど、最初の納付時に複数月相当の保険料が集中する可能性があります。
例えば7月から国保加入対象だったものの10月に手続きをした場合、「10月から払えばよい」とはならず、7月からの保険料が計算されることがあります。
その結果、最初に届く納付書の金額が思ったより高くなるケースがあります。支払いが難しいときは放置せず、市区町村の国保窓口へ早めに相談することが重要です。
年度途中で会社の社会保険に入った場合は国保も再計算される
反対に、年度途中で就職して勤務先の健康保険へ加入した場合には、国民健康保険から脱退することになります。
必要な脱退手続きを行うと、国保に加入していた期間に応じて保険料が再計算されます。すでに払い過ぎていれば、ほかに未納がないなど所定の条件のもとで還付される場合があります。
大阪市も、年度途中で国民健康保険の資格を喪失した場合には、届出後に保険料を再計算して精算すると案内しています。[大阪市参照]
会社の健康保険に入ったからといって自治体側の国保資格が必ず自動的に処理されるとは限らないため、必要な脱退手続きも確認しておきましょう。
国保の保険料はいくらになる?
納付回数とは別に、「年間いくら払うのか」も自治体や世帯の状況によって異なります。
厚生労働省によると、市町村国保では世帯単位で保険料・保険税を算定し、加入者の所得などに応じる部分と、加入人数などに応じる部分を組み合わせて計算します。具体的な料率や算定方法は市町村の条例によって定められます。[厚生労働省参照]
そのため、同じ年収300万円でも、住んでいる自治体、世帯人数、年齢、前年所得などによって国保の金額が変わる可能性があります。
また40歳以上65歳未満の国保加入者には、一般的に医療分などに加えて介護保険分も国民健康保険料に含まれます。
今年収入が少なくても前年所得で高くなることがある
国民健康保険でよくある疑問が、「今は無職なのに、なぜこんなに高いのか」というケースです。
国民健康保険料の所得に応じる部分は、一般的に前年の所得をもとに計算されます。そのため、前年は会社員として年収400万円あった人が今年退職して収入ゼロになった場合でも、退職直後の国民健康保険料は前年所得の影響を受けることがあります。
一方、所得が一定基準以下の世帯には均等割などを7割・5割・2割軽減する仕組みがあります。厚生労働省も国民健康保険料・保険税の法定軽減制度を案内しています。[厚生労働省参照]
退職・廃業・災害など一定の事情では自治体独自の減免制度等を利用できる場合もあるため、支払いが難しい場合には市区町村へ相談する価値があります。
納付書が10枚届いても「10年分」ではない
国民健康保険へ初めて加入すると、自治体から複数枚の納付書が一度に届くことがあります。例えば年10回方式なら、その年度分として第1期から第10期までの納付書がまとめて届くことがあります。
これは10回分の年間保険料を先に知らせているだけで、すべてを同じ日に支払うという意味ではありません。各納付書にはそれぞれ納期限が記載されています。
例えば6月に10枚届いても、「今日10枚全部払わなければならない」のではなく、原則として各期の納期限までに順番に払えばよい仕組みです。
ただし一括して前払いできるか、利用できる決済方法などは自治体によって異なるため、まとめて納めたい場合は自治体へ確認すると確実です。
「国民健康保険料」と「国民健康保険税」は基本的な役割は同じ
住んでいる地域によって、届く書類に「国民健康保険料」と書かれている場合と「国民健康保険税」と書かれている場合があります。
自治体は国民健康保険の費用を「保険料」として徴収する方式と「保険税」として徴収する方式を採用できます。このため名称が地域によって異なります。
例えば大阪市や横浜市では「国民健康保険料」という名称を使いますが、自治体によっては「国民健康保険税」と呼びます。
名称が違っても、国民健康保険制度を支えるために加入世帯が負担するものである点は共通しています。ただし納期限などの具体的な制度は自治体ごとに確認する必要があります。
支払いを忘れた場合は放置しない
国民健康保険料・保険税にはそれぞれ納期限があります。納期限を過ぎると、督促や延滞金などの対象になる可能性があります。
「納付書をなくした」「支払ったか分からない」という場合には、市区町村の国保窓口へ問い合わせれば納付状況を確認できます。
また経済的事情によって納期限までに納めることが難しい場合も、何も連絡せず滞納を続けるより、自治体へ早めに相談することが重要です。事情によっては納付相談や減免制度などを案内される場合があります。
特に複数枚の納付書が届いた場合は、金額だけでなく「第○期」と「納期限」を確認しておくと支払い忘れを防ぎやすくなります。
自分が年何回払いか確認する一番簡単な方法
国民健康保険の納付回数は自治体ごとに異なるため、インターネット上の一般論より自分宛てに届いた通知書を確認するのが確実です。
- 国民健康保険料決定通知書・納税通知書を見る
- 同封されている納付書の枚数と納期限を見る
- 自治体公式サイトの「国民健康保険料の納付方法」を確認する
- 分からなければ市区町村の国保窓口へ問い合わせる
例えば通知書に「第1期 6月30日、第2期 7月31日……第10期 3月31日」と記載されていれば、その年度は基本的に10回払いということが分かります。
まとめ|国保は年間保険料を複数回に分けて払うのが一般的
国民健康保険料は「全国どこでも毎月12回」という制度ではありません。自治体が1年度分の保険料を計算し、条例等で決められた複数の納期に分けて納めるのが一般的です。
横浜市・大阪市・札幌市などでは、普通徴収の場合、4月から翌年3月までの年間保険料を6月から翌年3月までの年10回に分けて納めます。一方、自治体によっては年8回など異なる納付回数を採用しています。
したがって「国保は毎月払うのか、年に数回なのか」への最も正確な整理は、「年間保険料を年8回・10回など自治体所定の回数に分割して払う。年金天引きの対象者は年6回になる場合もある」です。
また、年10回払いでも4月・5月の保険料が無料になるわけではありません。12か月分の年間保険料を10回に分けているだけなので、「納付月」と「保険料の対象月」を同じものとして考えないことが大切です。
年度途中で加入した場合は加入期間に応じて保険料が計算され、途中で会社の社会保険へ加入して国保を脱退した場合は再計算されます。最終的な納付回数・金額・期限については、市区町村から届いた国民健康保険料決定通知書や納付書を確認するのが最も確実です。


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