後遺障害1級保有者が別系列の障害を負った場合はどうなる?加重障害と自動車保険の考え方をわかりやすく解説

自動車保険

交通事故の後遺障害等級は非常に複雑で、特に「既に重い後遺障害を持っている人が、新たな事故で別の障害を負った場合」に疑問を持つ人は少なくありません。

中でも、自賠責保険や任意保険における「加重障害」の考え方は、障害の系列や既存等級によって扱いが変わるため、一般的な感覚とは異なる判断になることがあります。

この記事では、既に後遺障害1級を有する人が、新たに別系列の障害を負った場合の後遺障害認定や保険金支払いの考え方について、できるだけわかりやすく整理します。

後遺障害等級には「系列」という考え方がある

後遺障害等級は、単純に障害の重さだけでなく、「どの部位・機能の障害か」によって分類されています。

例えば、

  • 神経系統・精神障害
  • 上肢・下肢障害
  • 視力・聴力障害
  • 外貌醜状

など、系列ごとに区分されています。

そのため、既に「神経系統の機能又は精神」の障害で1級認定を受けている人が、新たに「外貌醜状」を負った場合、障害の系列自体は異なることになります。

ここが、加重障害の議論で非常に重要なポイントになります。

加重障害とは何か

加重障害とは、既存障害がある人が新たな事故によってさらに障害を負い、全体として障害が重くなった場合の制度です。

例えば、

  • 片目失明後にもう片目も失明
  • 片足障害後にもう片足も障害

などでは、障害全体がより重い状態になるため、「加重後等級」が検討されます。

しかし、既に最重度に近い1級を持っている場合は、単純に上位等級へ上がる余地がありません。

そのため、実務上は「新たな障害部分について別途評価可能か」が問題になります。

系列が異なる障害では別途評価されるケースがある

質問のように、

「神経系統の機能又は精神障害1級1号」

と、

「外貌醜状7級」

は系列が異なります。

そのため、実務上は「外貌醜状部分の新たな損害」が認められる余地があります。

特に、既存障害で既に労働能力喪失が100%近い扱いになっている場合でも、外貌醜状は別個の精神的損害や逸失利益を構成する可能性があります。

その結果、今回事故分として、7級相当部分について一定の保険金支払いが認められるケースはあり得ます。

ただし「7級が満額そのまま支払われる」とは限らない

ここで注意が必要なのは、「新たな7級認定=7級保険金満額支払い」と単純にはならない点です。

保険実務では、

  • 既存障害との関係
  • 実際の損害増加
  • 労働能力喪失率
  • 既払保険金との調整

などが検討されます。

例えば、既に1級によって労働能力喪失率100%評価されている場合、外貌醜状による追加逸失利益が限定的と判断される可能性もあります。

一方で、慰謝料部分については、新たな精神的苦痛として別途考慮される余地があります。

自賠責保険と任意保険で考え方が異なることもある

後遺障害の問題では、

  • 自賠責保険
  • 任意保険
  • 裁判実務

で考え方が完全一致しないことがあります。

自賠責では定型的な等級認定が中心ですが、裁判では実際の損害増加が重視される傾向があります。

そのため、保険会社が当初否定的でも、紛争処理機構や訴訟で判断が変わるケースもあります。

外貌醜状は精神的損害として重視されることがある

外貌醜状障害は、単なる見た目の問題ではなく、精神的苦痛や社会生活への影響が大きい障害として扱われます。

例えば、

  • 対人関係への影響
  • 就労制限
  • 精神的負担

などが考慮される場合があります。

そのため、既に別系列の重度障害が存在していても、「外貌醜状による独立損害」が認められる余地は十分あります。

実際の判断は非常に個別性が高い

後遺障害の加重問題は、条文だけで機械的に決まるものではありません。

特に、

  • 既存障害の内容
  • 今回事故の影響
  • 労働能力への追加影響
  • 生活状況

などによって、判断は大きく変わります。

そのため、実務では医師意見書や後遺障害診断書、事故前後の状態比較が非常に重要になります。

まとめ

既に「神経系統の機能又は精神」の障害で後遺障害1級1号を持つ人が、新たに「外貌醜状7級」を負った場合、系列が異なるため、新障害部分について別途評価される余地があります。

そのため、「既に1級だから新たな保険金は一切出ない」とは限りません。

一方で、実際には加重障害の考え方や既存損害との調整が行われるため、単純に7級保険金が満額支払われるとは限らない点には注意が必要です。

後遺障害は非常に専門性が高く、自賠責・任意保険・裁判実務で判断が異なることもあるため、疑義がある場合は交通事故に強い弁護士や後遺障害実務に詳しい専門家へ相談することが重要です。

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