副業をしている人が増える中で、気になるのが「副業先でも社会保険に加入しなければいけないのか?」という問題です。特に、勤務条件が一定のラインを超えると、原則として社会保険への加入義務が発生します。本記事では、月額88,000円の基準を中心に、副業における社会保険の仕組みと注意点をわかりやすく解説します。
短時間労働者でも社保加入の対象になる「5つの要件」とは
パート・アルバイトやWワーク先でも、以下の5つの条件すべてに該当すると、健康保険と厚生年金の加入が義務づけられます。
- ①週の所定労働時間が20時間以上
- ②雇用期間が2ヶ月を超える見込み
- ③月額賃金が88,000円以上(基本給や手当含む、残業代・通勤手当は除く)
- ④学生でない
- ⑤勤務先が社会保険適用企業(従業員51人以上)
この条件は2022年10月以降、段階的に拡大されており、該当者は年々増えています。
88,000円は「一度だけ超えたら」即加入なのか?
社会保険の加入判断は「一時的に超えたか」ではなく、「継続的に超える見込みがあるか」で行われます。たとえば、2ヶ月連続で88,000円を超えた実績がある場合、3ヶ月目以降も同様の収入が続くと見なされる可能性が高く、加入対象とされるケースが一般的です。
一方、例えば年末調整の時期などに一時的に給与が跳ね上がった場合は、「例外的な月」として除外されることもあります。
今月を抑えても、翌月再び超えたらどうなる?
仮に3ヶ月目の月収を意図的に88,000円未満に抑えたとしても、4ヶ月目以降に再び超過した場合、その時点で「継続的に該当している」と判断され、社会保険加入の対象になる可能性があります。
つまり、「回避できるのは一時的」で、いずれ条件が揃えば加入義務が生じます。毎月の収入を意図的に操作して回避し続けることは、労務管理上も適切とは言えず、後に遡及加入・徴収のリスクもあります。
社会保険加入のメリットとデメリット
強制加入となる社会保険には、以下のようなメリットもあります。
- 病気やケガによる休業時の「傷病手当金」
- 将来の年金額の増加(厚生年金)
- 健康保険による医療費軽減(扶養との関係も)
一方で、手取りが減ることに対する不安や、扶養から外れることによる影響を気にする人も多いのが実情です。
ただし、社保加入=損、というわけではありません。 長期的には保障面で得られる恩恵も大きいため、視野を広く持つことが大切です。
Wワークでの加入判断は「勤務先ごと」に行われる
複数の勤務先がある場合でも、社会保険の加入判断は原則として「個々の勤務先ごと」に行われます。副業先のみで5要件を満たしていれば、その企業での加入義務が発生します。
ただし、今後の制度改正によって「複数事業所合算型」の適用が拡大する可能性もあるため、定期的に最新情報を確認しましょう。
まとめ:社会保険の加入ラインは「回避すべきもの」ではなく「備えの一部」
Wワークや副業においても、一定の条件を満たせば社会保険の加入は避けられません。88,000円のラインを一時的に下回っても、それだけでは免除にはならず、再び継続的に超過すれば加入義務が再発生します。
長期的なキャリアや健康リスク、老後の保障を考慮すれば、社会保険への加入はむしろ前向きにとらえるべき制度です。不明点がある場合は、勤務先の人事や社会保険労務士に早めに相談しましょう。
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