国民健康保険料(国保)は、加入者の所得に応じて計算される仕組みですが、年収が高い方にとっては「早見表が1000万円までしか載っていないけど、それ以上の所得の人はどうなるの?」と疑問に思うこともあるでしょう。この記事では、国保保険料における所得の上限や、それ以上の年収帯の扱いについて、制度の仕組みを踏まえてわかりやすく解説します。
国保保険料の計算は「上限設定」がカギ
国保保険料は基本的に以下の要素から構成されています。
- 所得割:前年の所得に応じた額
- 均等割:世帯の人数に応じた定額
- 平等割:1世帯ごとにかかる定額
- 資産割(自治体によって有無あり)
このうち所得割については、あくまで「所得が高いほど保険料が増える」という仕組みですが、各市区町村ごとに「保険料の賦課限度額(上限)」が法律で定められており、それを超える保険料はかかりません。
年収1000万円以上はどう扱われる?
年収が1000万円を超える場合でも、保険料の「賦課限度額」に達すれば、それ以上の所得に対しては追加の保険料は発生しません。
たとえば、令和6年度(2024年度)の国保の上限は以下のようになっています(自治体により若干差異あり)。
- 医療分:67万円
- 後期高齢者支援金分:26万円
- 介護分(40歳〜64歳):20万円
合計すると、最大で113万円(介護対象者は最大で)程度が上限となります。つまり、所得が1000万円であっても1500万円であっても、この上限に達していれば保険料は一律です。
なぜ早見表が「1000万円」で打ち止めなのか
市区町村が公開している国保保険料の早見表は、一般的に「1000万円までのケース」で打ち止めになっています。これは、その時点で多くのケースで賦課限度額に達してしまうためであり、それ以上の例を載せても保険料が変わらないからです。
一部の自治体では、細かく「1100万」「1200万」などと記載している場合もありますが、結果としては保険料は一定額に達した時点で頭打ちになります。
具体例:実際の収入と保険料の関係
例として、東京都内のある自治体におけるケースを見てみましょう。
- 所得800万円:国保保険料 約90万円
- 所得1000万円:国保保険料 約112万円
- 所得1200万円:国保保険料 約113万円(※上限に達して打ち止め)
このように、一定以上の所得層では「保険料の伸びが止まる」という構造です。
高所得者ほど注意したい「他の税・負担」
保険料の上限に達しても、住民税や所得税は依然として累進課税です。そのため、保険料が固定化しても他の支出が増える傾向にあります。
また、高所得者は高額療養費制度の自己負担限度額も上昇するため、医療費リスクに対する備えも重要となります。
まとめ:国保は高所得者にも上限がある制度
国民健康保険料は所得に比例して増える仕組みですが、一定の金額(賦課限度額)を超えると、それ以上は一律となります。早見表が「1000万円まで」しかないのは、ほとんどのケースでその時点で上限に達するためです。
高所得世帯は、上限に達するかどうかを意識しつつ、保険料の構造や他の税・負担とのバランスを考えることが大切です。気になる場合は、お住まいの市区町村に具体的なシミュレーションを依頼してみましょう。
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