医療機関でのレセプト請求において、国民健康保険の「本人」か「家族」かの区分をどちらに丸をつけるかで迷うことは少なくありません。特に、返戻を避けるためには正確な区分の理解が必要です。この記事では、国民健康保険における「本人」「家族」「その他」の扱いや、電算処理コードとの関係をわかりやすく解説します。
そもそも「本人」「家族」の区分は何を意味する?
国民健康保険では、保険証の被保険者(世帯主など)を「本人」、その被扶養者などを「家族」と区別します。レセプトにおいては、医療を受けた人が被保険者本人かどうかで、「本人」「家族」の選択が必要となります。
ただし、国民健康保険法上、「本人」と「家族」で給付割合が異なるのは一部の例外(未就学児、高齢受給者等)を除き、基本的には差がありません。つまり、ほとんどのケースではどちらを選んでも給付内容に影響はないのです。
返戻は発生する?「本人」か「家族」かの区分選択の実際
国民健康保険において、「本人」または「家族」のいずれに◯をしても、未就学児や高齢受給者でない限り、返戻の対象にはならないとされています。これは、法的にも給付割合が変わらないからです。
つまり、レセプト記載上で「家族」に◯をすべきところを「本人」と記載しても、保険者からの返戻処理にはならないケースがほとんどです。
電算請求でのレセプト種別コードの確認
レセプト電算請求においては、次のような種別コードが割り振られています。
コード | 内容 |
---|---|
1111 | 医科・医保単独・本人/世帯主・入院 |
1112 | 医科・医保単独・本人/世帯主・外来 |
1113 | 医科・医保単独・未就学者・入院 |
1114 | 医科・医保単独・未就学者・外来 |
1115 | 医科・医保単独・家族/その他・入院 |
1116 | 医科・医保単独・家族/その他・外来 |
このように、「家族」や「その他」は同じカテゴリに分類されており、実務上も「家族」として処理されます。つまり、「その他」と「家族」を混同しても、正当な診療報酬請求がされていれば返戻にはつながりません。
実例で学ぶ:本人入院・家族外来での選択
たとえば、患者が世帯主ではない家族であっても、レセプトの「本人入院」に◯をして請求したケースでは、診療内容と被保険者情報が一致していれば問題にならないことが多いです。
一方で、未就学児や高齢受給者の場合は、区分ごとに負担割合が異なるため、間違った選択は返戻となる可能性があります。この場合のみ注意が必要です。
レセプト処理担当者が押さえておきたいポイント
- 未就学児や高齢受給者以外では「本人」「家族」の区分は厳密でなくて良い
- 返戻を避けるには、特記事項や患者情報の整合性を重視
- 電算請求時のコードと実際の請求区分が一致しているか確認
こうしたポイントを押さえることで、レセプト処理のミスを防ぎ、スムーズな請求処理が可能となります。
まとめ:本人・家族の区分に過度に神経質になる必要はない
国民健康保険のレセプト請求において、「本人」と「家族」の区分は、原則として返戻の要因にはなりません。ただし、未就学児や高齢受給者など、給付割合に関係する例外は必ず正しい選択が必要です。
実務では、患者情報の整合性とレセプトコードの確認を徹底することで、安心して請求処理が行えるでしょう。
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