退職後に受け取れる失業手当(雇用保険の基本手当)は、生活を支える大きな助けになります。しかし、「自分はいくらもらえるのか?」「退職のタイミングで金額が変わるのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。本記事では、失業手当の計算方法と、年収が下がってきたときの退職タイミングの考え方について詳しく解説します。
失業手当の金額は「直近6か月の賃金」で決まる
失業手当の金額は、原則として退職前の直近6か月間の給与(賃金)を基に決まります。ここでの「賃金」とは、基本給のほか残業代や各種手当を含んだ総支給額を指します。
例えば、直近6か月の賃金合計が150万円だった場合、1か月あたりの平均賃金は25万円となり、これをもとに「基本手当日額」が算出されます。
基本手当日額の計算と支給額の目安
基本手当日額は、年齢と賃金に応じて算出されます。以下は2024年度の一般的な上限の一例です(60歳未満の場合)。
賃金日額 | 支給割合 | 手当日額(目安) |
---|---|---|
5,000円未満 | 80〜50% | 最大4,000円程度 |
12,000円程度 | 50〜45% | 約5,400円前後 |
16,000円超 | 45% | 約7,200円上限 |
※支給割合は、賃金日額が低い人ほど高くなり、生活保障の観点から傾斜配分されています。
年収が下がり続けている場合の注意点
年収が年々減っている場合、「早めに退職した方が手取りの手当が多くなるのでは?」と考えるのも自然です。しかし、実際には「直近6か月の賃金」が基準になるため、すでに賃金が下がっている状態であれば、遅く退職しても基本手当額に大きな差は出ない可能性があります。
むしろ、例えば賞与や繁忙期の残業が多い時期を含めた6か月間を選ぶなど、タイミングを少しずらすだけで給付額が上がる場合もあります。
退職理由も手当の内容に影響する
退職の理由が「会社都合退職(リストラや倒産など)」か「自己都合退職」かによって、手当の支給開始時期が異なります。特に自己都合退職では、原則として2か月以上の給付制限期間が設けられる点にも注意しましょう。
仮に失業手当を早く・多く受け取りたい場合は、退職前に会社と話し合い、やむを得ない事情(ハラスメント、体調不良など)で「会社都合退職」扱いとなるよう配慮を求めることも選択肢の一つです。
退職前にできる!給付額を増やすための工夫
- 残業や手当が多い月を直近6か月に含める
- 賞与を含まないが、基本給アップ交渉は有効
- 扶養家族がいる場合の各種加算制度も確認
退職までのタイミングを少し調整するだけで、給付額に数万円単位で差が出ることもあります。失業手当の仕組みを正しく理解したうえで、「いつ退職するのが得か?」を冷静に判断することが大切です。
まとめ:失業手当の給付額と退職タイミングを見極めよう
失業手当の金額は「過去1年」ではなく「直近6か月」の賃金によって決まります。よって、年収が下がってきている場合でも、最後の6か月間の働き方によって金額が左右されます。
退職時期を決める際は、手当額だけでなく、再就職の可能性・生活費の備え・退職理由による給付制限も含めて総合的に判断しましょう。迷ったときは、ハローワークや社労士に相談するのもおすすめです。
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