副業やWワークが一般的になりつつある現代。特に在宅ワークと夜勤のような異なる勤務形態を組み合わせた働き方では、年末調整や社会保険、雇用保険の取り扱いに注意が必要です。今回は、こうしたWワークにおける税務と保険の基本的な考え方と注意点を解説します。
年末調整と確定申告の仕組み:どちらで対応すべき?
年末調整は「本業の勤務先」でのみ行われ、副業にあたる勤務先では原則行われません。そのため、夜勤先が主たる勤務先となる場合、そこで年末調整が行われ、在宅ワークの所得(給与)が20万円を超えた場合は自分で確定申告が必要です。
逆に、在宅ワークの所得が年間20万円以下なら、給与所得に対する確定申告は不要(※住民税の申告は必要な場合あり)です。
雇用保険は2つの職場で同時加入できるのか?
雇用保険は基本的に1事業所あたり1契約であり、2か所以上の職場で要件を満たしている場合、両方で加入が必要になります。片方の職場で加入を「辞退」することはできません。
ただし、雇用保険の「二以上事業所勤務届」を提出することで、両方の就労状況をハローワークに届け出る制度もあります。
在宅勤務を退職した場合の手続きと注意点
もし年内に在宅勤務を退職し、年間所得が10万円未満であれば、確定申告や年末調整における手続きは不要となるケースが多いです。
ただし、退職時に「源泉徴収票」の発行を必ず依頼しておきましょう。夜勤先の年末調整や、必要に応じて住民税申告に活用できます。
社会保険加入の基準と負担について
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入対象となるには、一般的に次の条件を満たす必要があります。
- 週の労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 雇用期間が2か月を超える見込み
夜勤先で上記を満たす場合、夜勤先で社会保険に加入することになります。副業先では社会保険加入は不要ですが、その労働時間も合算対象にはなりません。
実務の流れと注意点をまとめる
Wワークを円滑に行うために、次のステップを踏みましょう。
- 在宅先・夜勤先ともに源泉徴収票を年末までに確保
- 夜勤先で年末調整が実施されるかを確認
- 在宅勤務の所得が20万円を超える場合、確定申告を準備
- 雇用保険が両方の職場で発生する場合は「二以上事業所勤務届」を提出
- 在宅勤務を退職する場合は速やかに退職手続きと源泉徴収票を取得
とくに副業収入のある方は、国税庁の確定申告特集ページも確認しておくと便利です。
まとめ:Wワークは「税と保険」の知識で差がつく
Wワークを始める際には、年末調整の範囲、雇用保険や社会保険の加入条件、確定申告の要否など、各制度の正しい理解が欠かせません。
夜勤先を主たる勤務先と位置付けて年末調整し、副業分の所得に応じて確定申告を行うという流れが一般的です。雇用保険や社会保険に関しては、制度上の義務をきちんと守りつつ、雇用主とも事前に情報共有をしておくと安心です。
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