振込相手がすでに亡くなっていた場合、その口座は凍結状態にあり、入金処理が完了せず送金元に資金が戻されることがあります。この記事では、誤って故人の口座に振り込んでしまった場合の銀行側の処理や、返金時に発生する手数料の負担について詳しく解説します。
死亡した人の口座はどうなる?凍結処理の仕組み
銀行口座の名義人が亡くなると、その口座は原則として「相続財産」として凍結されます。遺族からの届け出や死亡届などにより、金融機関は法的な手続きが完了するまで出入金を一時停止します。
そのため、第三者からの振込であっても、凍結された口座には入金処理が実行されず、差し戻し(リターン)となるのが一般的です。
誤振込が返金される際の仕組み
入金できなかった資金は、振込元の銀行へ戻されますが、その際には「組戻し」や「取戻し」手続きが必要となることがあります。
今回のケースのように銀行側で自動的に判明した場合でも、正式な返金処理には口座名義人の本人確認・届出印の提示などが求められることがあり、手数料が発生することがあります。
手数料600円の根拠と負担者の扱い
誤振込時の返金手続きにおける手数料(600円前後)は、組戻手数料または他行からの入金不能に対する再処理手数料に該当します。
この手数料は、銀行が作業した結果として発生するものであり、原則として「振込人」が負担します。つまり、銀行に過失がなく、振込先に問題があった場合は自己責任という扱いになります。
振込人に瑕疵(過失)はあるのか?
法律的には「故人であることを知らなかった」ことは情状として考慮されても、振込を依頼した側が金銭移動を求めた主体であるため、銀行側が手数料を負担することは基本的にありません。
したがって、「瑕疵」とまでは言えなくとも、振込前の確認義務を果たさなかった点での負担は発生し得るという理解が必要です。
どうすれば手数料を回避できたか?
相手の生存や口座状態が不明な場合、まずは少額で振込テストを行う、または振込前に本人・家族に確認をとるなどの方法が考えられます。
また、振込ではなくPayPayなどの個人送金系サービスを使うことで、送金失敗時に自動で返金されるケースもあります。
まとめ:法的義務はないが、銀行処理に伴う実費負担はやむを得ない
今回のように故人の口座に誤って振込んでしまった場合、返金処理の手数料を振込人が負担するのは、銀行実務上も一般的な扱いです。
「過失があるかどうか」よりも、「誰が依頼し、誰が確認を怠ったか」が手数料負担の基準になります。今後は振込先の確認や送金方法の選択に一層注意を払うことが重要です。
コメント