傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった際に生活を支える大切な制度です。しかし、収入の減少を補うために副業を行ってしまうケースも少なくありません。本記事では、傷病手当金を受給中に副業をした場合にどのようなリスクがあるのか、どのような状況でばれるのか、そして万一発覚した場合の対応について解説します。
傷病手当金の制度概要
傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が業務外の病気やケガで仕事を休み、報酬が受け取れない期間に支給されます。原則として連続する3日間の待期期間を経た4日目から、最長で1年6ヶ月支給されます。
この制度は「労務不能であること」が前提であり、医師の診断書などで就労困難な状態であると認定される必要があります。
副業をするとどうなる?
受給中に働くことは、たとえ短時間・軽作業でも「労務不能」とは認められなくなる可能性があります。つまり副業は傷病手当金の受給要件に違反する行為であり、不正受給となるおそれがあるのです。
たとえばキャバクラやアルバイトなどで報酬を得ていた場合、「就労の実態があった」と判断され、受給停止や返還命令の対象となることがあります。
どのようにばれるのか?
傷病手当金の不正受給が発覚する主なきっかけは次の通りです。
- 第三者からの通報(SNS投稿や知人・同僚など)
- 税務署からの情報提供(副業収入の申告と整合性が取れない場合)
- 本人の確定申告や扶養申告書との不一致
- 本人の不注意な証言や記載(退職手続きや書類記入時)
現金手渡しであっても、雇用者側の帳簿や税務処理から判明するケースもあり、「税が引かれていれば安心」とは限りません。
発覚した場合のペナルティは?
発覚した場合、受給済みの金額の全額返還を求められることがあります。さらに悪質と判断されれば、詐欺罪など刑事責任が問われる可能性も否定できません(刑法第246条:10年以下の懲役)。
実際に、不正受給が発覚して返金命令や告発に至った事例は複数報道されており、「知らなかった」では済まないのが現実です。
生活に困っているときの代替手段
生活費に困窮している場合、以下のような制度も検討できます。
- 生活福祉資金貸付制度(厚労省)
- 地方自治体の緊急小口資金
- ハローワークの職業訓練給付金
- 母子家庭や単身世帯向けの公的支援
こうした制度を活用することで、リスクを取らずに生活の安定を図ることができます。
まとめ:受給中の副業は慎重に
傷病手当金の受給中に働くことは制度上許されておらず、発覚すれば全額返還や刑事責任という重い結果を招くことがあります。たとえ収入が少なくても「労務提供」があれば受給資格に抵触します。
もし現在不安を抱えているのであれば、医療機関や社会保険労務士への相談をおすすめします。制度を正しく理解し、適切な支援を受けることが、長期的に見ても安心・安全な選択です。
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