高齢の両親の資産管理を考える中で、「定期預金を普通口座に移すべきか?」という疑問は多くのご家庭で出てくるテーマです。万が一に備え、どのように預金を管理すれば良いのかを、リスクと利便性の観点から解説します。
定期預金と普通預金の違い
定期預金は満期まで引き出しが制限される一方、金利は普通預金より高めに設定されています。一方、普通預金はいつでも引き出せる流動性が特徴ですが、金利は低く、資産運用という面では期待しにくい面があります。
高齢の方にとっては「すぐに使えるお金」が重要になるケースも多く、定期預金だけで資産を持っていると、急な入院や介護などが必要になった際に資金の取り出しに不便が生じる可能性があります。
いざという時に困らないための預金の分散方法
緊急時用資金として、普通預金口座に一定額を移しておくことは有効です。例えば、生活費の3ヶ月分〜半年分を普通預金に置いておき、残りは定期預金で運用するという方法が現実的です。
また、定期預金でも「自動解約型」を選ぶと、満期になったときに自動で普通預金に戻るため、手続きが不要で利便性が高まります。
資産が凍結されるリスクにも注意
親が亡くなったり認知症を発症すると、金融機関は口座を凍結します。これにより、相続や成年後見人の手続きが完了するまで、預金の引き出しができなくなってしまいます。
このリスクに備えるには、任意後見制度や家族信託の活用も検討の価値があります。信頼できる家族が一定の資金を管理できるように法的整備しておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。
定期預金以外の選択肢も検討を
超低金利の時代において、定期預金だけでは資産はほとんど増えません。余剰資金がある場合は、安全性の高い金融商品(例えば個人向け国債や毎月分配型の投資信託など)も選択肢として考えることができます。
ただし、高齢者本人が内容を理解できる商品に限定し、リスクのある金融商品(株式やFXなど)は避けた方が無難です。金融機関によっては「高齢者へのリスク商品販売ガイドライン」も設けているため、適切なアドバイスを受けられる店舗を選びましょう。
親と子で資産管理について話し合う重要性
親が高齢になると、資産管理を家族で共有しておくことは非常に大切です。どの銀行にどれだけ預金があるのか、保険や年金の手続きはどうなっているかなどをリスト化しておくことで、緊急時に慌てずに済みます。
また、相続に備えた生前贈与や遺言書の作成も、元気なうちから計画的に進めておくと良いでしょう。
まとめ
高齢の両親の資産については、「万一に備える」ことを第一に考え、定期預金を一部普通預金に移すのは有効な方法です。その上で、法的な整備や資産の分散にも目を向けると、より安心して老後を迎えることができます。今後の生活設計や相続も見据えながら、家族で話し合う時間を持ちましょう。
コメント