60歳を迎え、老齢基礎年金の受給資格を満たすために未納期間の対応を検討する方は少なくありません。特に「再雇用で厚生年金を継続している場合」と「退職して国民年金に任意加入する場合」では、将来の年金額や保険料負担が異なります。この記事では、それぞれの選択肢のメリット・デメリットを具体的に解説します。
老齢基礎年金の受給資格と満額要件
老齢基礎年金は、原則として20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)保険料を納めた場合に「満額」が支給されます。2024年度時点での満額は月額66,250円です(年度により変動あり)。
40年に満たない場合は、納付月数に応じて減額された年金額となります。そのため、未納期間がある場合には「任意加入」や「厚生年金での継続加入」によって納付月数を増やすことが有効です。
厚生年金に加入して働き続けるメリット
60歳以降も会社で再雇用されて働く場合、厚生年金に自動的に加入することになります。この場合、老齢基礎年金だけでなく、老齢厚生年金も加算されるため、将来の年金額が全体的に増加します。
さらに、厚生年金保険料は労使折半のため、自己負担額が国民年金よりも低くなるケースもあります。特にフルタイムに近い勤務であれば、保険料の支払いに対するリターンは大きくなる傾向があります。
任意加入による国民年金の納付の特徴
60歳以降で老齢基礎年金の満額に達していない場合、65歳まで任意で国民年金に加入することが可能です。ただし、厚生年金と違って保険料は全額自己負担になります(2024年度で月額16,520円)。
メリットとしては、自由な働き方を継続しながら納付ができる点、そして基礎年金の受給額を満額に近づけられる点が挙げられます。ただし、厚生年金加入と比べると年金額の伸び幅は限定的です。
どちらが有利か?ケース別に比較
項目 | 厚生年金加入 | 国民年金任意加入 |
---|---|---|
保険料負担 | 労使折半 | 全額自己負担 |
年金の種類 | 基礎+厚生 | 基礎のみ |
働き方 | 雇用契約が必要 | 自由度が高い |
老後の年金額 | 全体的に高め | 基礎年金のみ増額 |
例えば、月収15万円で再雇用を継続し、厚生年金に加入する場合、年間の保険料は約13万円程度で済みますが、その分厚生年金として数千円単位の年金が追加されます。
注意点と相談先
任意加入には手続きが必要で、市区町村役場や年金事務所で申請を行います。また、収入の有無や年齢に応じて手続きや納付方法も変わるため、日本年金機構の公式情報や年金事務所への確認が推奨されます。
また、60歳以降の年金戦略は「繰下げ受給」や「在職老齢年金制度」など他の要素とも関わるため、ライフプランをトータルで検討すると安心です。
まとめ
厚生年金に加入して働き続けるか、国民年金に任意加入するかの選択は、それぞれのライフスタイルや収入状況によって最適解が変わります。年金額を最大化したい場合は厚生年金の継続が有利ですが、自由な働き方を優先したい場合は任意加入も現実的な選択肢です。迷った際は、年金事務所や専門家への相談をおすすめします。
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