企業型確定拠出年金(企業型DC)の資格喪失後、6ヶ月以内に必要な手続きを行わなかった場合、資産は国民年金基金連合会へ自動的に移換されます。この「自動移換」と呼ばれる状態は、その後の受け取りや運用に影響を及ぼす可能性があるため、きちんと理解しておくことが重要です。
自動移換制度とは?
企業型DCの加入者資格を喪失した後、6ヶ月以内にiDeCo(個人型確定拠出年金)への移換手続きを行わなかった場合、資産は国民年金基金連合会に自動移換されます。
この間、運用は行われず利息もつきません。また、管理手数料は資産から差し引かれ、長期にわたり放置すると資産が目減りするリスクもあるため注意が必要です。
60歳での受け取りは可能?
自動移換された資産でも、所定の条件を満たせば60歳到達後に「老齢給付金」として受け取ることが可能です。ただし、そのためには「通算加入者等期間」が10年以上必要です。
この通算期間には、企業型DC・個人型DC(iDeCo)・自動移換期間も含まれます。よって、長期にわたって拠出していた場合、自動移換でも60歳での受給資格は得られます。
一時金での受け取りの条件とは?
老齢給付金の受取方法は以下の2つがあります。
- 年金方式(分割で受け取る)
- 一時金方式(一括で受け取る)
自動移換された資産でも、受給開始時に申請すれば一時金で受け取ることは可能です。ただし、受給資格(60歳以上かつ通算加入者等期間10年以上)を満たしていることが前提です。
受け取りのために必要な手続き
60歳に達した時点で自動移換資産がある方は、国民年金基金連合会から送付される書類に従って申請する必要があります。手続きには以下のような書類が必要です。
- 老齢給付金裁定請求書
- 本人確認書類
- 受取口座情報
また、申請手続きは早めに行うことが推奨されており、60歳の誕生日を迎える前に準備を整えておくとスムーズです。
自動移換のデメリットと対策
自動移換の状態が長期化すると、資産が減少するリスクがあります。手数料が差し引かれる一方で、運用による増加は見込めないからです。
したがって、転職などで企業型DCの資格を喪失した際は、できるだけ早くiDeCoへの移換手続きを済ませるのが理想的です。これにより、運用益の積み増しも期待でき、将来の資産形成にも好影響があります。
まとめ|60歳での一括受取は可能だが手続きが鍵
企業型確定拠出年金の自動移換資産でも、一定の条件を満たせば60歳で一括受け取りは可能です。ただし、受給資格を満たしていない場合や、手続きを怠ると受け取りが遅れることもあるため、早めの対応が肝心です。今後の資産形成を有利に進めるためにも、放置せず積極的に管理・確認しておくことをおすすめします。
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